将来の世界チャンピオンとトレーニング

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ノルウェーから旅行に来ていたSimen Aamodtと富士のサマーチャレンジやJOA合宿で一緒に走る機会に恵まれた。
Simenはヨーロッパジュニア選手権のリレーで優勝、個人戦でも上位、超強豪ノルウェーのシニア代表を狙える位置にいて、世界チャンピオンを目指したいと公言している若きワールドクラスランナー。3000mは8’46で(これは近年のノルウェーチームでもトップ10に入る記録)、そのスピードは道なき不整地の森の中でも衰えることはない。日本の地図やテレインにはまだまだ慣れていないにも関わらず、彼の走りに最後までついていけた選手はいなかった。ちなみにまだまだ雪を多く抱える富士山山頂にも登ってこられる(さらにヒッチハイクに失敗して富士宮の市街地まで足で帰ってきた)タフガイでもある。冬山装備をノルウェーから一式持ってきていたのもさすが。
そもそもなぜ彼が?という話をすると、彼はトロンハイムの大学に通う学生で、研究室旅行のようなものでの来日したから。旅行の前半は日本の研究者との交流や研究施設見学などで、後半は自由行動だということで、ぜひ日本でもオリエンテーリングをしたいということだった。しかし日本のオリエンテーリングサイトはどれも日本語ばかり。そんな中、このブログで細々と英語のページを残していた僕を見つけてコンタクトしてくれたようだ。僕自身、海外に滞在中に多くのオリエンティアに助けてもらってきた。だから日本にやってきたオリエンティアがいたらぜひ協力したいと思っていたので、喜んで各地のローカル大会や合宿を紹介し、結果として今回の機会を得るきっかけとなれたのは嬉しい限り。
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▲Simenのルートと僕のルートの比較 その1 富士
黒枠がSimen、青枠が僕のルート。彼だけのルート図はこちら。僕は、1番で大きくミスしその後全然姿を見せないSimenを心配し2番の後で様子を窺っていたのと、10番手前で別のコントロールの様子を見に行ったのとで少しロスしたとは言え、15番までで2分弱のビハインド。僕にとっては庭みたいなテレイン、彼にとっては初めての日本でのオリエンテーリング、さらに前日に富士山に登っているというのに。。
真保が「踏み壊して走っているよう」と言うようにやぶや倒木を気にすることなく決めた方向へまっすぐ進む走り、急斜面や川を渡るときに躊躇なく入っていけること、ほんのわずか地図をチラ見するだけでルートを読み込める読図力、Japanese Orienteeringをしている我々にはあらゆる面で圧巻だった。学ぶべきものは多い。彼の動画もあるので後日紹介したい(ただいま編集中)。
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▲Simenのルートと僕のルートの比較 その2 駒ケ根
黒枠がSimen、青枠が僕のルート。彼だけのルート図はこちら。スプリットタイムはこちら
2005年の愛知での世界選手権前には強豪選手が数多く来日し、いつも走っているフィールドでその走りを目の当たりにすることができた僕らの世代にとって、彼の走りは冷めた言い方をすれば「まぁだいたい分かっていたこと」ではあったけれど、この10年でオリエンテーリングを始めた若い選手にとってワールドクラスの走りを日本のテレインで見られた経験は、いつもの走りに満足してはいけないという良い刺激になったと思う。みんなもっと速く走れる!
ところで合宿ではSimenにプレゼンテーションをお願いし、ノルウェーのオリエンテーリングに関すること、日本でのオリエンテーリングの課題などをノルウェーを代表する立場で発表してくれた。「日本の21歳のオリエンティアが異国の地であんなプレゼンテーションをできる様を想像できない」と松澤さんは呟いていた。早く走ること、うまくナビゲーションできることももちろん大事だが、強い選手になるためには国を代表するアスリートとしての意識の高さも重要なのではないかと思う。
そしてそのプレゼンテーションで彼は、「テクノロジーをたくさん使ってオリエンテーリングをよくしていくべき、それは日本人の得意分野だろ」という話をした。恥ずかしい話、彼のデータを見るまで3DRerunなどの解析ツールを眺めることはあっても自分で使ってみようという気にはならなかった。実際に使ってみると、ルートの分析やスピード解析に非常に強力なツールとなりそうである。ただでさえ競技環境に恵まれている彼らが最先端技術で日々切磋琢磨しているのだから、そりゃ差は開く一方だろう。ちょっとでもその差を縮めるためには我々ももっと時代の先を行くカイゼンを試みていくべきだ。そしてそれをオープンなウェブ上で展開することで世界に日本の様子を紹介することにもなるんじゃなかろうか。
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▲3DRerunでのルート比較、登りのスピードが段違い
それで気になったのが、日本から世界にその様子を発信してやろうという取り組みをすることがほとんどなくなってしまったことである。僕が知らないだけかもしれないし、僕自身も何もしていないに等しいので偉そうに言うのはためらうが、SNSだけでなくきちんとしたウェブサイトを構えることも大事に思える。ウェブサイトがあればよいという話でもないが、もしかしたら大きなチャンスを失っている可能性はある。「私は日本を代表するトップオリエンティアです」という看板を掲げるのは実は結構なプレッシャーで、「自分なんてまだまだ」という気持ちがあるとそれはなかなか難しいことであるのは自身の経験からも分かるが、言い方を変えればそんな程度の気持ちで取り組んでいるうちは世界を相手に戦う資格は得られていないのかもしれない。
さて、彼は合宿翌日にノルウェーへ帰っていったが、帰国後すぐ試験があるので勉強しなくちゃと言っていた。このへんの事情は日本の学生さんともあまり変わらない。
彼と話をしているとまた北欧でオリエンテーリングしたくなってきちゃった。。。


将来の世界チャンピオンとトレーニング」への2件のフィードバック

  1. Simen

    Like! Got some help from google translate here 😉 Thank you very much for helping me with orienteering in Japan, it really gave me some new input and motivation for my training back home. I hope to see you again some day, in Norway, Japan or any other place in the world!

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  2. KOI

    Thank you again. Your orienteering gave us big excitement. I also hope to see you again.

    返信

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