それでも君は、帰ってきた ~1枚の写真から~

先日、富士山麓の森の中で作業をしている最中に携帯電話(スマホ)を落としてしまった。しかしそれに気づいたのは宿に戻った時。はじめは荷物の中にあるだろうと、宿の電話を借りて電話を鳴らしてもらった。
しかし荷物からも車の中からも音は聞こえない。マナーモードにはしていないし、電話はつながるので電源が落ちているわけではない。山に行く前には確実に持っていた。さては途中で寄ったコンビニのトイレに置きっぱなしにしたか、車に戻った時に荷物を開けた際に落としてしまったか。コンビニへ行き探してもらうもないし、車を停めてた林道にも戻ったが落ちてはいない。
はて?最後に使ったのはどこだったか、なかなか思い出せない。これは年のせいなのか。。 何かの拍子に森の中である場所の写真を撮ったことを思い出した。その後はコンビニでも車の中でもそういえば使った覚えはない。むしろケータイどこだっけ?たぶん荷物の中だろうと思っていたことも思い出す。ああ、しまった、ひょっとして森に落として来てしまったか。
森での作業はトレイルを辿るものではなく、トレイルを外れてオリエンテーリングのための目印をつけるべくそこらじゅうを走り回るものだった。今日のルートをもう一度辿り直すことはできるが、しかしケータイを見つけるためには寸分違わず同じ場所を辿る必要がある。森の中での作業は総距離15km。森の中で最後に写真を撮ったのはその序盤。落とした可能性のある範囲は12kmくらいのルート上のどこか。さすがにその距離をその精度で辿りなおすことは難しい。見つけ出すのはかなり絶望的か、、
そのときふとモバイル用のセキュリティソフトを入れていたことを思い出した。先週、PCのセキュリティソフトを更新した際に一緒に購入すると安くなるというのに惹かれて試しに買ってみるかと入れたばかりのアプリ。PCからそのサイトにログインし、リモートロックをかけ、現在地把握を試みる。しかし電波が弱いからなのか、GPSを起動していないからなのか現在地を知らせるレポートは現れない。
なんとかならんかなぁとそのサイトを色々見ていると写真を撮って送ってくるという機能があることに気付いた。リモートロックがかかったという結果は出ていたので電波は届いているのかもしれない。最後の望み。写真送信を試みる。が、時間は夜。送られてきた写真は真っ黒。当たり前か。朝が来るのを待つ。それまでもってて電池ちゃん。
そして朝、再びアプリサイトにアクセスし写真撮影を試みる。そして送られてきたのがこんな写真。
20140908_photo
木、だね。森の中に落としたのは間違いない。でもこんな風景じゃどこにあるのかはわからんよ。。。 しかもその後はリモート操作ができなくなる。いよいよ電池も切れたか。。
とりあえず悪い人に拾われてしまったわけではなさそうだし、携帯電話会社に連絡して電話を止めて買い直すのが現実的かと諦めつつ写真を眺める。
ん?これあんまり下草写ってない。昨日走った場所は結構下草や倒木があった。そういう場所では上下左右にもっと枝葉の影が写るんじゃないのか?いくつか辿ったトレイル上であれば上空の木はもっと開けているはず。つまりこれは下草があまり生えていないきれいな森の中(いわゆるスーパーA)じゃなかろうか。そういう場所は昨日行った範囲では限られている。
そういえばこういう気持ちの良い場所で水を飲んだりおにぎり食べたりした。その時に荷物から落としてしまったのかも。こういう場所なら近づきさえすれば人工的な白い物体に気づけるかも。
一縷の望みを託し、翌日の作業の合間にいくつかの候補地に行ってみる。しかし見つからない。こういうきれいな森の中は縦横無尽に動けるし、見通しが効くので遠くの目標へ向かってスピードを出して走れてしまう。なので足元の風景はあまり見ておらず記憶も薄い、まったく同じルートを辿るのは意外と難しい。こっちの木の間だったかな?そっちの木の間だったかな?やっぱり見つけるのは難しいか、最後の候補地を回ってみても見つけられなかった。とぼとぼと昨日と同じように尾根を下って離脱しようとしたとき、目に入ってきた白い物体!
わ、1日ぶりの再会。その瞬間にカシャっという音。切れたと思っていた電池ちゃんは実は死んでおらず、僕の携帯電話はリモートで指示された通り、10分に1度、主人のもとへ自分の居場所の写真を送り続けていたらしい。
20140908_photo2
なんて健気な。うちのタミちゃん(猫)がいなくなったと思ったのに戻ってきたとき(そんなことは一度もないけど)かのような感動。機械ながら思わず家族並みの愛情を感じた瞬間。
いや、しかし、失くしたモノの場所を教えてくれる、すごい時代になったもんだ。それでも最後に重要になるのは、見つけてほしいと叫ぶその声から何か手がかりを見つける冷静な分析とそれを裏付ける豊富な経験!
あらためて最初の写真をよく見てみると木の幹が片方側からしか伸びていない。カメラが真上を向いていれば上下左右から幹が伸びているはず。つまり携帯は傾いている。下に石か枝があって傾いている可能性も高いが、斜面に落ちている可能性も考えられる。そのことにも気付けていればもっと候補地を絞れ、発見は早かったかも。まだまだ修行が足りない。
いや、そもそも落とすなよ、という話なんだけども。しかも裏向きに落ちてたらきっと見つけられなかったし。。。


それでも君は、帰ってきた ~1枚の写真から~」への2件のフィードバック

  1. yama

    自分は今もガラケーだけど、調査中に山に落としてきたことは数度あります。平日の調査だと探すの絶望的かと思いきや、大体の場所さえわかっていれば、土日になってボランティア大会スタッフに電話鳴らしてもらってそのあたりに二人でいけば何とか見つかったよ。ネットとか写真とかやらなければ未だに電池は1週間ほど持つからこいちゃんのこの経験ほどあせらないなあ。うちの妻はもっとひどくてそこらじゅうで落としてくるが、交番とか買い替えとか動き出す前になぜかちゃんとみつかる。

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  2. KOI

    yamaさんコメントありがとうございます。やっぱ山ではガラケーですよね。いろんな意味で。
    僕も普段だったらそんなに焦らなかったかもしれません。その日は家族から緊急の電話が入る可能性があったので、連絡取れないことへの不安があり、それが探索へのモチベーションにもなりましたね。

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