全日本オリエンテーリング大会を考える、パブリックコメントその2

前回の続き

少し飛躍すると持ち回り開催時には全日本オリエンテーリング大会と全日本リレーオリエンテーリング大会を2日間で同時に開催することも検討してよいと思う。各種全日本大会の中でも多くの参加者を集める2つの大会を同時に開催することで地方開催であっても確実に参加者を集めることができる。テレインは2日間同じ場所でよい。競技の公平性の問題は指摘されるかもしれないが、どの選手どのチームも条件は同じである。2日間大会は運営側の負担が大きく増えることになるわけだが、2つの大会を別々に開催し、そのたびに地図を作り直すコストを考えれば長期的には負担が減ると考えることもできる。

ところで近年に始まった全日本ミドルと全日本スプリントは、果たしてどのくらいのニーズがあるのかわからないし、実際集客も低迷しているように思う。言い方を変えれば、もっとも人気のありそうなロングを全日本オリエンテーリング大会の実施種目にしておくのが開催継続にはもっとも有益なのではないかと考える。一方ニーズがない種目を無理して毎年開催する必要もないのではないだろうか。例えばアジア選手権がない年に全日本ミドル・スプリントの開催団体を募集し、アジア選手権開催年(全日本がない年)は日本代表選考レースのトップをミドル・スプリントの日本選手権者とし日本選手権者は毎年認定する、などの方法もありだろう。

さらには各種全日本大会の名称についても検討する時期だと思う。全日本オリエンテーリング大会、全日本ミドルオリエンテーリング大会など種目ごとにそれぞれに名称がつけられているが、全日本オリエンテーリング大会ロングの部、ミドルの部という名称の方がすっきりするし、共用できる資材・消耗品も増え、運営の効率化につながらないだろうか。

(3) 全日本オリエンテーリング大会に参加する選手から見た、本大会に対する要望。

昨今のアウトドアスポーツブームのおかげもあり、現在オリエンテーリングのトップ選手には多くの社会的注目が集まっている。特にロングのチャンピオンはキング・オブ・オリエンテーリングと呼ばれるほどの尊敬を集める存在であり、そのチャンピオンが誕生する全日本オリエンテーリング大会はオリエンテーリングを社会へPRできるもっとも有能なコンテンツではないだろうか。全日本オリエンテーリング大会をチャンピオンシップ大会としてもっと魅力的なものに変えることでスポーツとしてのオリエンテーリングの普及を果たすこともできるはずである。

魅力あるチャンピオンシップ大会にするには大会が賑やかでなくてはならないし、そのためには多くの観客が必要だ。しかしオリエンテーリングがやはり観るスポーツとしてはまだまだ弱い。世界選手権でさえ併設大会を設けて観客を集めようとしていることを考えれば、全日本オリエンテーリング大会へより多くの観客を集めるためには多くの人が意欲を持って参加もできる現状の年代別選手権としての側面を残しておいたほうがよい。現状で日本選手権だけを別開催した場合、たとえ併設大会を設けたとしてもその参加人数は100名程度にしかならないのではないかと危惧するからだ。

そしてチャンピオンシップ大会としての魅力を高めるためには、すべての参加者をできるだけ平等に扱うという現在のコンセプトを変え、誰が見てもあの人が日本チャンピオンになったのだと知れ、チャンピオンをリスペクトできる演出を中心に据えたほうがメディア等でも取り上げやすいのではないかと思う。

例えば過去の全日本オリエンテーリング大会では多くの場合、エリートクラスの表彰式は最後に行われる。大トリはエリートで、という思いやりある演出から始まったものかもしれないが、しかし現状は延びに延びた表彰式にしびれを切らし参加者がどんどん帰路につく閑散とした会場で寂しく日本選手権者の認定が行われる状態だ。これでは愛好者の中でさえトップ選手への関心を増やすことはできない。

それを解決する一例を考えてみた。エリートクラスは前日受付を原則とし、翌朝8時くらいからスタート、11時前には決着。10時頃に会場へ到着するとちょうどよい他のクラスの参加者たちはエリートクラスの決着を見届けてからスタートへ、大部分がフィニッシュする頃にまずエリートの表彰式を盛大に行い、以降順位が確定したクラスから順次表彰。このような流れであれば、オリエンテーリングのトップシーンに関心を持つ人を増やすことができないだろうか。

スタート時刻を早めることは運営者の負担を増やすように見えるかもしれない。しかしエリートクラスだけに必要な運営人数はそれほど多くないし、エリートクラスは少数精鋭のプロに任せるというのも手であろう。

朝8時スタートというのは極端な例だが、エリートクラスのスタートを少し早めにし、多くの人がいるうちに決着し表彰されるという演出は来年の大会からでもぜひ検討していただきたい。また競技時間が長いエリートクラスや21Aクラスなどのスタート時刻を早めることは、他のクラスへの干渉を気にせずコースを組める、フィニッシュ閉鎖時刻を早める、などコンパクトな運営を実現する一手になることも期待できる。

まずは「競技者・愛好者自身がトップ競技者へのリスペクトを高め、関心を持てるような環境を作る」ことが大事である。参加者が興味を持てないようなステージにメディアが食いつくことはないと思うからだ。細かなことを言えば、歴代日本選手権者の一覧表は毎年の大会プログラムに掲載してほしい。

一方でステージが用意されたからといってメディアが来てくれることはなく、実は別の施策が必要となるわけだが、いつ誰が来ても誇れるようなステージを用意しておかなくてはこれからの現代スポーツとして生き残ることはできないのではないかと思う。

そして観戦する文化が育まれた後に、理想の競技環境を求め日本選手権と年代別選手権の分離開催を検討する、という長期的なビジョンを見据えておくことは必要だと思う。


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