マスターズ遠征2

8/8
スプリント決勝。決勝はタリンの旧市街地で開催。世界遺産での開催である。ということでモデルイベントのときと同じように観光客で溢れる。レースの時は何かしら規制があるのではないかと思っていたが何もなし。ただ車の出入りは制限されていたようだ。

スプリント決勝の会場

スプリント決勝の会場

町の広場を会場にレースが繰り広げられる。僕がスタートする前にM85-Aに出場している高橋厚さんがフィニッシュする予定。ToOのインタビューで今年のマスターズへ駆ける意気込みをお聞きしていたのでぜひその瞬間を見たいと思いつつ、果たしてどうなるのかとかなりドキドキしながら応援する。そして姿を見せた厚さん。終盤、さすがに辛そうだったが最後までペースを落とすことなくフィニッシュへ。間もなく優勝確定を告げるアナウンス。わー、本当に一番になった!日本から参加の皆さんもみんな祝福。僕の目標、いつかは世界チャンピオンをまさに目の前で見させてもらった。初めて参加したマスターズでその姿を見られたことに何か運命的なものを感じざるを得ない。

ゴール直後の厚さんを祝福

ゴール直後の厚さんを祝福

興奮冷めやらぬ中、僕のスタートも近づく。M35クラス、予選の結果を見るとトップはちょっと飛び抜けている。一朝一夕で勝てる相手ではないだろう。でも少しでも上の順位を取るべくレースに集中する。スタート前の周囲の緊張感は世界選手権のそれとあまり変わらない。久しぶりのこの感じ、ぞくぞくする。

最初の入りはかなり速かった。これでは息切れしてしまうとペースを抑える。次から次へと現れる建物群をチェックしながら正しいルートへ進み続ける。ヨーロッパの旧市街地コースは得意な方だ。ルートチョイスもうまくできているはず。問題は観光客だ。とにかく多い。しかしここで怯んではいけないと心を鬼にして縫うようにしつつ駆け抜ける。一回だけよけきれずにおばちゃんにぶつかってしまう。日本なら大クレームだが、そのおばちゃんもびっくりはしていたが「がんばれー」的なことを言ってくれた。

終盤までペースは落ちずによく走れた。トップとは1分差、3位とは約30秒で8位。このタイム差はどうがんばっても埋めることはできなかった。でも戦えているという感覚はとても心地よく、これから何十年もかけて彼らに勝てるようになることが生き甲斐の1つになりそうだ。

最高齢クラスW95に唯一参加の選手。95歳には見えない。

最高齢クラスW95に唯一参加の選手。95歳には見えない。

日本のメダリスト2人

日本のメダリスト2人

表彰式では厚さんに花束を渡す役を仰せつかる。この上ない名誉なことだ。モスクワコンパスでおなじみの小笠原さんも銅メダル。2人の笑顔に憧れる。

ホテルに帰ってコースを振り返ると実は結構ルートチョイスでミスをしていることに気づく。特に終盤は見えていないルートもあり、少し悔やむ。ま、それらを差し引いても30秒の差は縮められないし、スプリント練習をほとんどしていなかったのだから仕方ない。でももうちょっとがんばってみたいというモチベーションの高まりを感じる。

(マップをクリックするとルート図にリンク。3-4はルートチョイスミスだった。15-16は入り口を間違える。16-17,19-20と終盤で立て続けに正しいルートを選べず。)

(マップをクリックするとルート図にリンク。3-4はルートチョイスミスだった。15-16は入り口を間違える。16-17,19-20と終盤で立て続けに正しいルートを選べず。)

8/9

レストデー。選手には翌日から始まるロングディスタンスのモデルイベントがあるのだが、それには参加せず、国際オリエンテーリング連盟(IOF)のEvevt Advisers’ Clinicに参加。

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Evevt Advisersとは言葉の通りイベントにアドバイスする役目を持った人で、世界選手権やジュニア世界選手権、マスターズ、アジア選手権などのIOFイベントはもちろん、ワールドランキングイベント(WRE)など国際基準のレースを開催するにはイベントアドバイザーがいる必要がある。

今回のクリニックに参加しただけでいきなりビッグイベントのアドバイザーを務められるようになるわけではなく、まずは国内の大会で実績を積み、そののちWREなどで実績を積み、研修を重ね、認められた人だけがシニアイベントアドバイザーとして活躍できる。今回のクリニックはその登竜門。

内容自体は日本で行われるコントローラ講習会と同じようなもので、IOFとは何かから始まり、国際大会の種類、イベントアドバイザーに求めらる、コントロールディスクリプションの添削、コース設定の原則(特にスプリント)、計測システム、Jury(裁定委員)の役割と実践的なグループワーク、といった内容。

特に強調していたことはイベントアドバイザーは森の外の仕事を中心にしろ、森の中の仕事はナショナルコントローラにできるだけ任せろ、というものだった。森の外の仕事というのはイベントセンターやレース会場の雰囲気づくり、メディアへの配慮、インターネットを中心にした大会の見せ方など、とにかくオリエンテーリングのイメージを高めるような任務。たとえば距離やアップが増え、コースのクオリティが下がるとしても一度会場を通るようなコースにさせた、といった事例が紹介された。今回のエストニアでのマスターズでも大会を外に見せるような試みが多くなされている。

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コントロールディスクリプションについては例えば102のような場合、国内の大会ではC欄に北東のがけを示す矢印をつけろとよく言われるが、このがけが○の中心にあることは明瞭なのでこの場合はつけなくてよいということだった。あるいは106。浅い沢という説明になっているが、浅いことは地図を見ればわかるのでディスクリプションに書く必要はない、と。とにかくディスクリプションはシンプルにするようにとの指導を受けた。

1日英語でまじめな話。レースより疲れた。

8/10

ロング予選1日目。ロング予選は2日間行われ、2日間の合計タイムで決勝進出者が決まる。なので1日目はそこまで緊張感はなくどこかのんびり参加している人が多い。マスターズらしい緩やかな雰囲気だが、数年後には予選1本になるという話も聞いた(その代わりミドル決勝1本勝負が加わる?)。

ロング予選会場。窪んだ場所をゴールに選んだのはスタジアム感を出すための配慮だろうか。

ロング予選会場。窪んだ場所をゴールに選んだのはスタジアム感を出すための配慮だろうか。

さて、モデルイベントには行っていないが、実は8日の夕方にロングテレインのそばのトレーニングマップに入っている。なので森のイメージは事前に仕入れた情報なども含め十分にあったのであまり不安は感じず臨めた。問題はルートチョイスだ。大きな湿地をどう処理するかと言うレッグが必ずあるはずで、それが出た時どうするべきかをとにかく決めねばならない。1日目は攻めすぎる必要もない、基本的には遠回りでも道を選ぶことにしつつ、2日目と決勝を見据えて短い区間で同じような課題が出た時は湿地を切ることを試みたい。

(クリックするとルート図にリンク)

(クリックするとルート図にリンク)

スタート地区は予想よりも緊張感があった。ペースもやや抑えめにし地図と現地の対応を少し丁寧に行う。ルートも日本の八ヶ岳山麓あたりでオリエンテーリングをする感覚で選ぶ。平坦な微地形エリアはよくわからなくなることもあったが、斜面があるところは急ではっきりしているので本当に日本でオリエンテーリングをするような感じだった。日本選手が対応しやすいテレインだろう。7-8は予定通り道を回る。ちらちら見える湿地が意外と走りやすそうで失敗したかなと思いつつ、大丈夫大丈夫と心を静めながら進む。

10-11は実験的試み。思い切って湿地を切り、藪がうすい陸の上を辿るルートを選ぶ。しかしヤブつきの湿地。見通せず、進みたい方向にもなかなか進めず、陸には上りはしたが果たして本当に正しく来たのだろうかと不安を拭えずだいぶペースが悪かった。

そんなこともあり13-14も道を回ろうと思ったが、踏み跡が続くのが見えたのでもう一度チャレンジしてみる。結果を言えばヤブなしの湿地は意外とサクサク進める。15-16は大外まわり。さすがにこれはちょっと走りすぎだったか。といろいろ手探りしながらゴール。トップ63分のところ76分で、トップ比120%は過去のマスターズの結果からみれば結構よい順位になるはずだったが、70分台は団子状態で25位だった。M35クラスは30位くらいがA決勝のボーダーになるはずなので結構ぎりぎりだ。

ペースはもう少し上げられるだろう。明日は挽回できるはずだが、しかしみんなも抑えているかもしれない。予選から緊張感ある展開。でも絶望的ではなく望みもまだまだある状況。いい気持ちでレースを楽しめるのはマスターズらしいところだろうか。今晩出るはずのスプリットタイムを見て研究しよう。


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