タグ別アーカイブ: WMOC2016

マスターズ遠征4

8/14
大会は終わったがチケットの関係であと2日滞在する。当初は家族連れの予定だったのでこの2日間でのんびり観光の予定だったのだが、1人で観光してもなぁということでトレーニングと来年の世界選手権に参加する日本選手のためにテレイン観察のビデオ撮影などをして過ごす。

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エストニアはスカンジナビアほど地形がごちゃごちゃしていないので、読みやすく対応させやすいのは確か。ただ来年の世界選手権は南部のTartuで行われる。そこはエストニアでも最も標高が高い地域で、バルト三国最高峰ムナマギもある(といっても標高は316m、山と言うよりは丘)。今回のエリアよりはもう少し高低差のある地形になるのでまったく同じというわけにはいかないようだ。でも日本選手にはよりよい条件になるのではないかと思う。広いとは言えない国なので植生や地面の感じは似たようなものだろう。

来年のWOC競技エリア

来年のWOC競技エリア

8/15
昨日と同様、トレーニングへ。今日は一番うまく行かなかったロング予選1日目で使ったエリアで反省とルートチョイス検討。世界選手権などでも大会が終わればみんな急いで帰るけれど、実は数日でも残って走ったコースを再走するというのはとても重要で大切な機会なんじゃないかと思った。

走るペースはレースの方が速かったが、ふらつきをなくしたり直線的なルートを取ることでタイムを短縮できた

走るペースはレースの方が速かったが、ふらつきをなくしたり直線的なルートを取ることでタイムを短縮できた

さて、これでいよいよマスターズ遠征も終わりとなる。予想以上の盛り上がりがあった。来年世界選手権をやるエストニアでの開催だからなのかもしれないが、大会のクオリティも総じて高かったと思う。2016年、もし日本でマスターズを開催することになっていたらこんなにも人を満足させる大会ができただろうか。ここ数年、選手としてまたオーガナイザーとして二つの顔で活動してきて、これからもそうするつもりでいるが、正直なところ後者のほうはいまいち明確な目標を持つことができないままだった。ここに来て、目指したいもの、目標を得たように思う。

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さて、オリエンテーリングを楽しむためならオーリンゲンの各年代のクラスなどに出ればよいだけの話だけど、マスターズの醍醐味はやっぱりIOFのチャンピオンシップであることだろう。のんびりした雰囲気の中でピリピリした緊張感が突然やってくると、世界選手権でスタートする瞬間を思い出す。でも毎年出る必要もなく、出やすいときに出て楽しめる気軽さもなかなかよい。真剣さとユルさが同居する感じはトレイルランやロゲイニングの雰囲気に近い大会にも思う。

次回マスターズは来年4月にNZでワールドマスターズとして他の競技とともに開催される(たったの8か月後)。ヨーロッパから遠い場所での開催なので勝負するならチャンスは多いかもしれない。個人的には40クラスに上ってからもう一度出てみたいと思っている。2018年コペンハーゲン、19年リガ(ラトビア)と続く。物価も安く、前回行ったときに楽しめたラトビアあたりが狙い目だろうか。ちなみに2020年はまだ決まっておらず(?)、2021年は関西ワールドマスターズとして日本で開催予定。ジョルジュを筆頭に同世代のスーパースターたちがいつ本格参戦するかも大きな関心事だ。何十年もかけて彼らに勝てる日を目指すというのも悪くない人生だ。

明日、帰国の途へ。日本には台風が近づいているようだ。無事に帰れますよう。

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マスターズ遠征3

8/11
ロング予選2日目。昨日よりコントロール数が多く距離が少し短いのでミドルレッグが多いことは予想していたが、まさしくその通りのコースだった。ルートがあんまり分かれないので、踏み跡を見つけてトレースするだけという区間もだいぶあった。しかしそれでもいくつかルートチョイスを求められる。昨日の分析を活かして、道ばかりではなく、短縮できるところは積極的に真っ直ぐ進む。湿地も植生Aのところは真っ直ぐ行った方が早いことがわかり、躊躇なく攻める。ときどきズボっとはまるのにはなかなか慣れないのだが。。昨日同様、やぶの中での方向維持や特徴がないフラットのエリアでふらついてミスになることが多い。もう少し時間をかけてよいので、手前で確信度を高めアタックするように修正していく必要があろう。

途中でトップの選手と並走する。ベラルーシの元代表選手。世界選手権で20位台の実績がある。当時はとにかく足が速いという印象があったが、道を走るスピードはさほどでもない。もちろん遅くはないのだが、それよりも森に入ってからペースがあまり落ちないと感じる。まぁこれは今わかったことではない。この差を埋めていかないと勝負できないとずっと思っているのに埋められないもどかしさ。傾斜の変換の微妙な差や平らなエリアのわずかな凹凸をしっかり把握しながら進めているのも印象的だった。

結果は67分で11位。1桁は行けるだろうと思っていたので少し残念だったが改善できたことは安心した。トップ比も4%向上。昨日、今日と後半のタイムがよいので、スタミナという点では他の選手より有利な気がする。予選は9キロちょっとのコースだったが決勝は12キロを超える。チャンスは増えるかもしれない。

しかし今のところ天気に恵まれている。雨は降っても長続きはせず青空に戻る。しかも幸いなことに外にいる時間には降らない。しかし今朝は肌寒く、12℃くらい。

(クリックするとルート図にリンク)

(クリックするとルート図にリンク)

8/12
レストデー。観光やトレーニングなどいろいろな選択肢があったが、選んだのは部屋ごもり。午前中はのんびりごろごろ身体を癒し、午後はOMM JAPANの地図作り。かつて、こういう日には意味も分からず現地語のテレビをつけっぱなしにしてなんだろかと想像しながら眺めることを楽しみにしていたものだが、今やネットでニュースにスポーツ、娯楽番組と日本の番組を見て過ごすこともできる。日本にいる時より日本の情報が入って来ることに気づく。でもさすがにオリンピックの国内向け映像は権利の問題か見ることができないようで、現地のテレビで様子を見る。ボートや射撃など日本ではあまり見ない競技が流れていて興味深い。思えばオリンピック期間中に海外にいるのは2004年のアテネ以来か。

8/13
最終レースのロング決勝。ここにきて雨の一日。緊張や疲労をひどく感じることはなく、よい状態でレースを迎えられた。走り方にも慣れて来てベストに近いルートをミスすることなく進むことができた。途中で前を行く選手たちに追いつく(どうやら1人には追い付かれていたようだが)。そのグループの中でナビゲーションを主導するパックリーダーとして自分のナビゲーションに集中でき、最後は引き離してゴールすることができたのもこれまでにない経験であった。

大会ウェブサイトより

大会ウェブサイトより

テレインは予選のエリアとは趣が異なり、見通しがよく地形が見えやすい、そして足元もあまりぼこぼこしておらず、走りやすい場所だった。高低差もあまりなくスピードを出せ、心地よいナビゲーションができる。こんな場所でオリエンテーリングできることの幸せを噛みしめながら走った。

きれいな森

きれいな森

そして今日のコースはザ湿地というコースで、湿地切りは当たり前のように出て来るだけでなく、湿地の中の池の中を縫うようなコースであった。こんなところでオリエンテーリングするのは初めてでとても楽しい気持ちになった。池に落ちるのではないかと心配もしたが、腰まで浸かったのが1回あったくらいで済んだ。

(クリックするとルート図にリンク)

(クリックするとルート図にリンク)

結果は目標一桁にぎりぎりセーフの9位(※8/14追記 オフィシャルリザルトでは8位に変更される)。メダルまでの差は大きかったが、内容的にはこれまでのキャリアの中でベストを競うよいレースだった。レース内容には満足しているが、結果に満足しているかと言われればそうでもない。こんなよいレースをしたのにぎりぎり1桁か、という失望もいくらか感じているのが正直なところ。しかしトップ比115%は今回のフォレスト3レースでは一番の出来だし、キロ6分28もフォレストでは過去最速レベルのペースだったし、ひとまずは年明けからのがんばりを褒めたい。

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マスターズ遠征2

8/8
スプリント決勝。決勝はタリンの旧市街地で開催。世界遺産での開催である。ということでモデルイベントのときと同じように観光客で溢れる。レースの時は何かしら規制があるのではないかと思っていたが何もなし。ただ車の出入りは制限されていたようだ。

スプリント決勝の会場

スプリント決勝の会場

町の広場を会場にレースが繰り広げられる。僕がスタートする前にM85-Aに出場している高橋厚さんがフィニッシュする予定。ToOのインタビューで今年のマスターズへ駆ける意気込みをお聞きしていたのでぜひその瞬間を見たいと思いつつ、果たしてどうなるのかとかなりドキドキしながら応援する。そして姿を見せた厚さん。終盤、さすがに辛そうだったが最後までペースを落とすことなくフィニッシュへ。間もなく優勝確定を告げるアナウンス。わー、本当に一番になった!日本から参加の皆さんもみんな祝福。僕の目標、いつかは世界チャンピオンをまさに目の前で見させてもらった。初めて参加したマスターズでその姿を見られたことに何か運命的なものを感じざるを得ない。

ゴール直後の厚さんを祝福

ゴール直後の厚さんを祝福

興奮冷めやらぬ中、僕のスタートも近づく。M35クラス、予選の結果を見るとトップはちょっと飛び抜けている。一朝一夕で勝てる相手ではないだろう。でも少しでも上の順位を取るべくレースに集中する。スタート前の周囲の緊張感は世界選手権のそれとあまり変わらない。久しぶりのこの感じ、ぞくぞくする。

最初の入りはかなり速かった。これでは息切れしてしまうとペースを抑える。次から次へと現れる建物群をチェックしながら正しいルートへ進み続ける。ヨーロッパの旧市街地コースは得意な方だ。ルートチョイスもうまくできているはず。問題は観光客だ。とにかく多い。しかしここで怯んではいけないと心を鬼にして縫うようにしつつ駆け抜ける。一回だけよけきれずにおばちゃんにぶつかってしまう。日本なら大クレームだが、そのおばちゃんもびっくりはしていたが「がんばれー」的なことを言ってくれた。

終盤までペースは落ちずによく走れた。トップとは1分差、3位とは約30秒で8位。このタイム差はどうがんばっても埋めることはできなかった。でも戦えているという感覚はとても心地よく、これから何十年もかけて彼らに勝てるようになることが生き甲斐の1つになりそうだ。

最高齢クラスW95に唯一参加の選手。95歳には見えない。

最高齢クラスW95に唯一参加の選手。95歳には見えない。

日本のメダリスト2人

日本のメダリスト2人

表彰式では厚さんに花束を渡す役を仰せつかる。この上ない名誉なことだ。モスクワコンパスでおなじみの小笠原さんも銅メダル。2人の笑顔に憧れる。

ホテルに帰ってコースを振り返ると実は結構ルートチョイスでミスをしていることに気づく。特に終盤は見えていないルートもあり、少し悔やむ。ま、それらを差し引いても30秒の差は縮められないし、スプリント練習をほとんどしていなかったのだから仕方ない。でももうちょっとがんばってみたいというモチベーションの高まりを感じる。

(マップをクリックするとルート図にリンク。3-4はルートチョイスミスだった。15-16は入り口を間違える。16-17,19-20と終盤で立て続けに正しいルートを選べず。)

(マップをクリックするとルート図にリンク。3-4はルートチョイスミスだった。15-16は入り口を間違える。16-17,19-20と終盤で立て続けに正しいルートを選べず。)

8/9

レストデー。選手には翌日から始まるロングディスタンスのモデルイベントがあるのだが、それには参加せず、国際オリエンテーリング連盟(IOF)のEvevt Advisers’ Clinicに参加。

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Evevt Advisersとは言葉の通りイベントにアドバイスする役目を持った人で、世界選手権やジュニア世界選手権、マスターズ、アジア選手権などのIOFイベントはもちろん、ワールドランキングイベント(WRE)など国際基準のレースを開催するにはイベントアドバイザーがいる必要がある。

今回のクリニックに参加しただけでいきなりビッグイベントのアドバイザーを務められるようになるわけではなく、まずは国内の大会で実績を積み、そののちWREなどで実績を積み、研修を重ね、認められた人だけがシニアイベントアドバイザーとして活躍できる。今回のクリニックはその登竜門。

内容自体は日本で行われるコントローラ講習会と同じようなもので、IOFとは何かから始まり、国際大会の種類、イベントアドバイザーに求めらる、コントロールディスクリプションの添削、コース設定の原則(特にスプリント)、計測システム、Jury(裁定委員)の役割と実践的なグループワーク、といった内容。

特に強調していたことはイベントアドバイザーは森の外の仕事を中心にしろ、森の中の仕事はナショナルコントローラにできるだけ任せろ、というものだった。森の外の仕事というのはイベントセンターやレース会場の雰囲気づくり、メディアへの配慮、インターネットを中心にした大会の見せ方など、とにかくオリエンテーリングのイメージを高めるような任務。たとえば距離やアップが増え、コースのクオリティが下がるとしても一度会場を通るようなコースにさせた、といった事例が紹介された。今回のエストニアでのマスターズでも大会を外に見せるような試みが多くなされている。

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コントロールディスクリプションについては例えば102のような場合、国内の大会ではC欄に北東のがけを示す矢印をつけろとよく言われるが、このがけが○の中心にあることは明瞭なのでこの場合はつけなくてよいということだった。あるいは106。浅い沢という説明になっているが、浅いことは地図を見ればわかるのでディスクリプションに書く必要はない、と。とにかくディスクリプションはシンプルにするようにとの指導を受けた。

1日英語でまじめな話。レースより疲れた。

8/10

ロング予選1日目。ロング予選は2日間行われ、2日間の合計タイムで決勝進出者が決まる。なので1日目はそこまで緊張感はなくどこかのんびり参加している人が多い。マスターズらしい緩やかな雰囲気だが、数年後には予選1本になるという話も聞いた(その代わりミドル決勝1本勝負が加わる?)。

ロング予選会場。窪んだ場所をゴールに選んだのはスタジアム感を出すための配慮だろうか。

ロング予選会場。窪んだ場所をゴールに選んだのはスタジアム感を出すための配慮だろうか。

さて、モデルイベントには行っていないが、実は8日の夕方にロングテレインのそばのトレーニングマップに入っている。なので森のイメージは事前に仕入れた情報なども含め十分にあったのであまり不安は感じず臨めた。問題はルートチョイスだ。大きな湿地をどう処理するかと言うレッグが必ずあるはずで、それが出た時どうするべきかをとにかく決めねばならない。1日目は攻めすぎる必要もない、基本的には遠回りでも道を選ぶことにしつつ、2日目と決勝を見据えて短い区間で同じような課題が出た時は湿地を切ることを試みたい。

(クリックするとルート図にリンク)

(クリックするとルート図にリンク)

スタート地区は予想よりも緊張感があった。ペースもやや抑えめにし地図と現地の対応を少し丁寧に行う。ルートも日本の八ヶ岳山麓あたりでオリエンテーリングをする感覚で選ぶ。平坦な微地形エリアはよくわからなくなることもあったが、斜面があるところは急ではっきりしているので本当に日本でオリエンテーリングをするような感じだった。日本選手が対応しやすいテレインだろう。7-8は予定通り道を回る。ちらちら見える湿地が意外と走りやすそうで失敗したかなと思いつつ、大丈夫大丈夫と心を静めながら進む。

10-11は実験的試み。思い切って湿地を切り、藪がうすい陸の上を辿るルートを選ぶ。しかしヤブつきの湿地。見通せず、進みたい方向にもなかなか進めず、陸には上りはしたが果たして本当に正しく来たのだろうかと不安を拭えずだいぶペースが悪かった。

そんなこともあり13-14も道を回ろうと思ったが、踏み跡が続くのが見えたのでもう一度チャレンジしてみる。結果を言えばヤブなしの湿地は意外とサクサク進める。15-16は大外まわり。さすがにこれはちょっと走りすぎだったか。といろいろ手探りしながらゴール。トップ63分のところ76分で、トップ比120%は過去のマスターズの結果からみれば結構よい順位になるはずだったが、70分台は団子状態で25位だった。M35クラスは30位くらいがA決勝のボーダーになるはずなので結構ぎりぎりだ。

ペースはもう少し上げられるだろう。明日は挽回できるはずだが、しかしみんなも抑えているかもしれない。予選から緊張感ある展開。でも絶望的ではなく望みもまだまだある状況。いい気持ちでレースを楽しめるのはマスターズらしいところだろうか。今晩出るはずのスプリットタイムを見て研究しよう。