ワールドカップ最終戦レポート

 イタリアワールドカップのレポートを日記調で簡単に。詳しい報告書は後日こちらにアップします。


目標
 8月の世界選手権の選手選考で本命だったミドル選考会は、アクシデントもあり不完全燃焼。スプリントには選ばれたけど、でもミドルのほうが結果が出せる自信があったし、その力を今年のうちに確認しておきたかった。言ってしまえば鬱憤晴らしのために出場を決意。目標は予選通過と決勝40位以内。
 あと、これまではターゲットではなかったロングへも挑戦してみる、全レース走りきるにはどのくらい体力が必要かを確認するといった目的もできた。
10/1 イタリア着
 ローマ空港からイベントセンターのあるモンテ・リバタまでレンタカーで移動。ヨーロッパで初めて渋滞のある国に来た。。。 参加費などが未払いということでトラブルに。
 夕方にロングとリレーのモデルテレインを軽く走る。見通しが良くてとても走りやすい。ナビゲーションに困ることはない。
 夜は停電で寒い中右往左往。気温は0度近くまで下がる。。。 この日は空港でコーチのロブがパスポートと飛行機のチケットを失くすなどトラブルばかりだった。
10/2 ミドルモデルイベント
 見える街、すべて美しい。尾根線の上に建物が連なる。
 ミドルは牧場がメイン。オープンと低い木のヤブ、それとセミオープンの判別をうまくしなくてはいけない。オープン、クリアリングをつないで走っていくことが大事になりそう。
10/3 ミドル予選&決勝
 あいにくの天気。午前中に予選。予選スタートはチェコのスモーラと同じ。同世代なので勝手にライバル視している。スタートフラッグまでに地図が読めたのでスピードアップ。スモーラを先行。序盤はまずまずの出だし。中盤でコントロールを読み飛ばしてしまい(5番にいるのに7番の脱出方向を読んでしまった)明後日の方向に。。。 
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 1分くらいロス。やっちゃった、って感じだったけど、落胆はせず、このテレインのコースを最後まで楽しもうと、集中して走れた。ゴール後は既にトップと3分以上差があった。予選は厳しいなと思ったけど、ギリギリ通過。途中まで一緒だったスモーラのタイムは早かった。でもあのタイムは出せそうな気がする。
 最高のレースを求めなくても予選は通過できるレベルにあると確信できた。これまで積み重ねてきたものは確実に力になっている。ミスは許されないから、ミスは許されるという気持ちでスタートできることは心強い。
 昼休みはホテルの一室が待機所に割り当てられ、快適に過ごせた。緊張はしなかった。トップ選手と同じコースで競えることがすごく嬉しかった。
 決勝は午後。コースは1番から難しく、中盤(写真)はまったくのお手上げ状態。尾根・沢がさっぱり読み取れない。やっと読み取っても現地と対応できない。ひさしぶりに現在地を見失う。
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う~む、これが世界トップのコースか。でも、このコースを走れる喜びから、ミスしても嬉しくなってしまう。言い換えれば、決勝での目標が明確ではなかったとも言える。でも今回はこれでいい。トップのタイムを見て、彼らへの尊敬の念をますます強め、彼らに少しでも近づきたいと思った。
10/4 スプリント予選
 午前中にモデルイベント。午後から予選。
 スタートは森の中。富士丸火の溶岩地帯のヤブのようなところを抜けていくと、スビアコという中世の市街地へ。途中でスイスのスプリントエース、フブマンと一緒になる。すごいスピード。ちょっと圧巻される。市街地ではミドルチャンプのジョルジュ、04年スプリントチャンプのヨナソンらと一緒になる。複雑な市街地では、彼らもかなりの時間をかけて地図を読む。でも走り出すとバッと走る。トップスピードは変わらないが、止まって、走っての繰り返しに強い。
 スプリントも途中でミスしてしまい、改心のレースではなかったが、通過。ますます自信を高めることができた。
10/5 スプリント決勝
 天気は荒れる。予選と同様、最初に森、後半は市街地というコースレイアウト。前半の森は昨日と異なり見通しいい森。ちょっとぶれながらも無難にこなせた。市街地に入って、市街地に強いオーストラリアのBJに追い付かれる。しかし、しばらくは先行。こういうテレインは好きだ。地図読みがとても楽しく感じる。
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 でもパブリックコントロール(9番)後の階段一気登りした後のダッシュで離される。ここでも、運動の切り替え時に差が出ていると感じた。12→13番でルートチョイスミス。1分後スタートだったフィンランドの選手にも追いつかれてしまう。しかし、トップ選手に混じって競えたことは、嬉しく楽しく、モチベーションを上げてくれた。
10/6 ロング
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 久しくロングのレースを経験していなかっただけに、ペース配分が難しかった。序盤はローペースすぎたかも。中盤以降もスピードを上げてどこまで持つか怖くてスピードを出せずじまい。その分、ミスはほとんどなかった。第2中間後、スタミナ切れ。最後はジョギング。走るペースではなく、走る時間を短くすることを重視したほうがいいのかもしれない。どうも、ロングはただ走るだけという感じでなかなか好きになれない。テレインの影響も強いけど。
10/7 レスト
 坂本とローマでおしゃれしに行く。
10/8 リレー
 重要ではない大会、若手に経験を積ませることも大事、という方針で坂本-小泉-松澤という走順。1走は霧の中スタート。坂本は期待通り(?)大きくミスする。私自身、昨年のデンマークでミスしたので人のことをいえないが、普段ではやらないようなミスをしてしまうのはどうしてだろう。この辺の心理状態は興味深い。
 私自身は、可もなく不可もなく。今回の遠征を象徴するような出来。松澤さんのコースとの距離差、タイム差を考えれば悪くはないはず。でもトップとの差は大きい。やはりリレーは競り合わなくては話にならない。
総括
 今回は結果を出す必要はないと勝手に思っていたのでかなり気楽に走れた。どちらかというとイタリアのテレインを堪能し、課題を1つ1つクリアしていくことに楽しみを感じていた。そうしていれば結果はついてくる力があると、愛知で他の選手が証明してくれたことも、緊張状態を解いた要因のひとつ。
 今回はイタリアということで「一日一おしゃれ」をスローガンに、気分転換をすることにした。夕日を見に行ったり、オープンテラスでカフェしたり、髪形を変えてみたり、リラックスすることに気を配った。これらも評価してよいだろう。
 う~ん、でも決勝での結果はやはり悔しい。
 今回の遠征では、オリエンテーリングを始めた原点を再認識できた。走ることも、自然の中も、そんなに好きではなかった私が、オリエンテーリングにのめり込んだ理由のひとつは、これまで行ったことのない場所にいけることであった。だから学生時代はマイナーな大会でも遠征に出かけ、いろんなものを見ることに楽しみを感じていた。
 それは今も同じだ。世界で、イタリアのここにしかない森、街を走ったり、見たりできることにすごく充実感を感じた。ここ最近は結果にこだわるあまり、そういう身の回りの素敵なものを見ることを忘れていたような気がする。これは今後のオリエンテーリングへの取り組みだけではなく、仕事やライフプランにおいても重要な発見であると思う。
今後
 来年の世界選手権では決勝で30位台は現実的な目標になりそうだ。そして08年に20位以内。これが今の最大の目標。ターゲットはやっぱりミドルかな。一番楽しみを感じることができる。市街地でのスプリントも好き。ミドルだとマイクロOが待っている。その辺はもう少し煮詰めないといけない。
幸運とは、自ら動かない限りは
決して訪れないものだ。

           スティーブン・リーコック

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