田舎の生活その13

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最近よく聞かれるのは、田舎で暮らしているのはわかったがそもそもどこに住んでいるのか、どんなところなのか、何しているのか、といったこと。そこで今回は僕らが住んでいる場所について。
僕が住んでいるのは静岡県榛原郡川根本町という山間の小さな町。静岡県中部と西部(旧国名で言うならば駿河と遠江)を分ける大井川とその支流が南アルプスの南麓に作った山と谷の中にある。静岡や浜松へ抜ける山道はあるが、長野県側へ抜ける道路はない。
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今世紀初めまで川根地方は上流から本川根町・中川根町・川根町と3つの町に分かれていたが、平成の大合併で一番南の川根町が島田市と合併、上流の二町が川根本町となった。そのため島田市内にも川根中学校や川根温泉という場所があり、ちょっと紛らわしいことになっている(三町合併を目指していた動きもあってぎくしゃく感は残っている)。
川根本町の人口は約8,000人、当然のことながら高齢化が進み、人口の42%が65歳以上、27%が75歳以上。さらに毎月10人くらいのペースで確実に人口が減っており、過疎高齢化が深刻な問題となっている。このままだといずれ消滅してしまう可能性さえある。しかしだからこそこういう場所に住もうと思ったのだが、それはまた別の機会に。
町内は光岳の2,591mを最高地点に南アルプスの前衛部の山林が面積のほとんどを占めている。ちなみに光岳(てかりだけ)は百名山でもあり、北半球におけるハイマツやライチョウの南限で世界遺産を目指す南アルプスを語る上では欠かせない山の1つ。山もよいが個人的には大井川が作る嵌入蛇行(せんにゅうだこう)の数々はまさに“地形萌え”。
越すに越されぬ大井川とは下流のほうのことを指すのかもしれないが、上流部は上流部で渓谷のような場所が多数で、苦労して道路を作ったあとがうかがえる。台風などで大雨が降ると町のどこかが通行止めになる。川には吊り橋も多くかかっており、走って買い物に行くときには吊り橋を渡る日常がある。買い物する場所はあるのかとよく聞かれるが、町には地元スーパーや小さな商店がいくつかあり、コンビニもあるのでまったく不便かと言えばそんなことはない。そりゃ大都市に比べれば種類や時間に制約はあるが、それが不便かどうかは僕にはわからない。家電とか服とか、たまに必要になる買い物は静岡や島田まで車を1時間走らせれば事足りる。
町の主な産業はお茶。通には有名な川根茶という良質なお茶を町のいたるところで生産している。各集落には茶工場があり、品評会で切磋琢磨しあっているくらいなのでたしかにお茶の味はよく、スーパーの安売りのお茶しか買ったことがなかった僕には感動ものであった。おいしいお茶の産地、ということはつまりは寒暖の差が激しいということで、夏の昼間は平野と変わらず暑くなるが、夜は涼しく過ごしやすい。冬の朝は氷点下は当たり前の極寒だが、昼は静岡県らしい暖かさを感じられる日が多い。
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お茶が主力産業になる前は林業のほうが盛んであった。今もその伝統は生きていて、急峻な斜面にもかかわらず整備された山林(いわゆる“Aの林”)が広がる。明治以降、この切り出した木材を運ぶため、そして大井川にダムを建設するために、大井川鐵道や道路などのインフラが整備され、そのインフラを活かして観光産業も発達した。観光地としては寸又峡とその温泉が有名だが、接岨峡や白沢、千頭など温泉は他にも色々あるので山や渓谷めぐりをした後の疲れを癒すにはとてもよい。残念ながらいずれの産業も過疎高齢化のためかつてに比べると元気がない、と言われている。。。
なんだかどこに行ってもそんな話が絶えない。日本の過疎地はこのまま衰退する一方なのか。都市じゃないと暮らしていけないのか。世の中はどんどん便利になって距離を感じさせない世界になっているはずなのに、おかしな話だ。結局のところ、人生の幸せとは何なのか。こんな僕でもたまに山を眺めながらそんなことを考えつつ、暮らしている。
ところでこのブログでも以前紹介したけれど、大井川鐵道と言えばSL。アプト式鉄道も有名。アプト式にはまだ乗っていないので早く乗りに行きたい。誰か遊びに来たタイミングを狙っている。ちなみに普通列車もレトロ感ある渋い車両が走っている。近鉄、京阪、南海とかつて関西地方の私鉄のエース車両たちが、当時の姿そのままに走っている。ちなみに西武のE31型電気機関車もここで生き残っている(まだ営業運行はしてないけど)。大井川鐵道は名鉄グループだということなのに、名鉄の車両はない。かつてのパノラマカーを走らせればSLと同じくらい人気になりそうな気がするのだが、と1人で勝手に妄想している。
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今回の内容は、正直なところ町のホームページWikipediaを見れば十分な話である。

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