オリエンテーリングのここが変

今回はオリエンティア Advent Calendar 2016という企画の一環で記事を書きます。

Club阿闍梨の人たちにアンケートを取ってみた

さて、オリエンテーリングに対していろんな夢、目標を持っていてもオリエンテーリングが日本で行われなくなってしまえばしまいです。いろいろと直面する課題は多いですが、オリエンテーリングを愛好する人々を増やしていく努力は常に意識しています。

ここ数年、関東の大会を中心にお揃いのウェアを来たおじ、いやお兄さんお姉さんグループを見かけることが多くなったのではないかと思います。僕が所属するTEAM阿闍梨が企画運営するClub阿闍梨の人たちです。

ロゲイニングや講習会、体験会を通してナビゲーションスポーツに興味を持ち、オリエンテーリングにも挑戦している人たちで、今では100人に迫る会員登録があります。普及活動の1つの形です。なんだか自分の功績のように威張っていますが、Club阿闍梨の活動は僕が静岡に移ってから本格化したので、僕自身はたまにお手伝いする程度です。関東に住むTEAM阿闍梨の皆さんが中心になって頑張っています。みなさん気さくで熱心な人たちなので見かけたら声をかけてあげてくださいね。見た目はベテランですが、中身はピッカピカの1年生です。

そんなClub阿闍梨の人たちにアンケートを取ってみました。お題は「オリエンテーリングの嫌なとこ、おかしなとこ、変なとこ」です。学生の頃からオリエンテーリングを嗜んでいる我々のような人間には当たり前すぎて気づいていないことを教えてもらえるのではないか、このAdvent Calendarに辛口な記事を提供できるのではないかと思い、企ててみました。

ここで紹介していることはある人が個人的に感じたことです。意見としては小さなものかもしれませんが、今後の普及活動や制度設計のヒントになるものがあるのではと思い紹介します。また否定的な意見と同じくらい肯定的な意見も多かったです。Club阿闍梨のみなさん、ありがとうございました。(本当はもう少しきれいにまとめたかったのですが、時間に追われ間に合わなかったのでとりあえずほぼ生データのまま、一部にコメントをつけておきます。)

地図・ルールについて

  • デフに出てくるような地図記号は気にするけど、それ以外の地図表記について教わることも、教え合う機会もそうそうない。ある時のパークOで、生け垣の隙間を通過したんだけど。マップでは生け垣の隙間はなくて、地図をしっかり見ていた人は生け垣の端まで遠回りすることになり、不公平が生じたことがあった。
  • 地図について 緑の濃淡(走行可能度)が自分の感覚となかなか合わない。
  • 地図は未だに、尾根谷がよくわからず。スタート前に四角い枠の中に入るルールも時々?となり、冷や汗がでる。実際にスタートしてから、地図上の三角マークまで、無事に辿り着けるかいつも不安。
  • ルールというか、専門用語がごく当たり前に至るところで使われてますが、初心者には厳しい。解説とか用語集があったらいいのにと思ったことも。
  • JSCD記号が必要以上にハードルになっている気がします。

地図や位置説明記号については馴染むまではなかなか難しいですよね。JSOMなどの規定集があるじゃんという話ではありますが、あんなお堅いものではなくて、初心者から中級者へなるための解説本(サイト)みたいのがあるとよいのかもしれません。

大会等のイベントについて

  • クラス、カテゴリーがよく分からず、自分がどこのクラスにエントリーしたらいいのか分からなかったりします。
  • クラス分けが判りにくい。年齢のところに出れば良いの?ビギナーからなかなか踏み出せません。

ルールとも関連することですが、これもよく聞く話です。E,A,BはまだしもNが初心者クラスは分かりづらい。ロング、ショートも略す必要があるのかどうか。

  • 要項出るのが遅過ぎて、友達誘ってもトレランやマラソンのスケジュールで既に埋まっていて、来てもらえない。
  • 開催日、要項等の発表が、マラソン他のスポーツイベントに比べて遅い大会が多い。そのため、なかなかスケジュールが組めないし、本当は出たかったのに、既に他の大会をエントリーしてしまっていたりする。
  • 日程と簡易な要項でよいので、早めに告知して欲しい。

僕は大きな大会は日程固定にすればよいのにといつも思っています。春インカレや一部大会はほぼ固定日程で開催できているわけだし。

  • 大きい大会はエントリーしやすいが、小さな大会は部外者は対象外かもしれないと心配になり、エントリーしづらい。
  • 大会がある事自体全く外部の人には分からない。ランネットやスポーツエントリーなどに入口があると大会の存在を知らせる事ができるのに。

後にも出て来ますが、オリエンテーリングのプロモーション下手はよく指摘されます。

  • 男性更衣室がないこと。汚れるのは全然OKだけど汚れるスポーツだからこそ男性だってゆっくり着替えて綺麗な格好で帰りたいです。
  • 控室で男性が下着姿になって着替えるのが目のやり場に困る。

ヨーロッパでは女性でも下着姿を見せつけてきます。文化の違いは国内外にあるわけです。

  • ルールについてはわかって当然のような様子で、判らないことも今更聞けない雰囲気があります。
  • いってもしょうが無いけど、開催地が不便な場所が多い。だからこそできると言う面もあるのはわかるのですが。

オリエンテーリング協会やクラブなど組織について

  • 競技者登録をした割りに、日本オリエンテーリング協会のサイトが一番見てない。なぜだろう。
  • JOAの情報公開はひど過ぎます。
  • クラブはもっと練習やりましょう。
  • 大学クラブ以外は、新しい仲間を増やそうという意識が少ない。
  • 初心者が始められる機会が無い。
  • 様々な組織があることは理解しましたが、詳細はよく判りません。

その他

  • オリエンテーリングを扱った小説、漫画、映画が全く無いのが残念。「ちはやふる」のオリエンテーリング版を誰か!ヨーロッパだとあるのでしょうか?
  • GPSで軌跡を見れる様にするのが一般的でないこと。入門者にはこれ結構面白い。ベテランは必要ないのかな?大島の試み(RouteGadget)は良いと思いました。QuickRoute、3DRerunは少し面倒でハードル高いです。
  • ティアという言葉。ヨーロッパでもそう呼ぶのでしょうか。ティアという響きが余りに綺麗なせいかもしれませんが、オリエンテーリングを始めたばかりの私には絶対に使えない略称です。自分の事をティアと呼べる人は違う世界の人のような。。。主観です。すみません。

オリエンという略称も僕は好きではない。字数が多くなっちゃうのは確かに困るんだけど。

  • 私は、ひとりより、誰かと一緒にまわりたいと思い、とても心細くなる。(大会中、迷って誰かによく話しかけてしまう)
  • ウエアが恰好良くない(ダボっとしてやたらカラフルなやつのこと)。

あと穴が開いたボロボロの履いていると無料であげるから新しいのにしませんか?って言いたくなるときがあります。まぁ、あげないけど。

  • 年齢がばっちり公開されてしまう。
  • エントリーリストに、年齢表記は不要だと思う。
  • 女性としては、年齢を表記されたくない。(エントリークラスでわかる程度にして欲しい)

意外と多い年齢問題。そもそも住所を含めた個人情報の取り扱いについてどこまで意識しているのかっていうのも気になります。

  • LAP CENTERのミス率の意味が良く分からない。

参考までに「ラップ解析法の真髄に迫る」。

  • 走る、ナビゲーションするこの二つの事を両立させるするために、特にナビゲーション能力を向上させるために、個人ではどのような練習をしたらいいかよくわかりません。
  • 美しいO−MAPの存在が地図好きな人にさえほとんど知られていないこと。昨今の地図、地理、地形ブームに乗れてないのが少し残念。何か伝えるもの無いかな。
  • MTB-Oみたいな面白くかつ世界選まであるスポーツがある事をサイクリストやMTB乗りたちが全然知らないこと。自転車雑誌に載せてもらったり、JCAとタイアップなんか出来ないでしょうか?自転車乗りは基本的に地図読み好き人種です。目指せチャリダー出演!

そもそもオリエンティアがほんとにメジャースポーツにしたいと思っているのか、疑いたくなるときもあります。

逆にここはとても良い、なんて意見もあればぜひ

  • 大学生や高校生が選手でありながら一方では一生懸命大会を運営している事。
  • お手軽な参加費で、学生達が頑張って運営している姿は、とっても応援したくなります。

学生の頑張りには僕が知り合う他分野の方にもいつも感心されます。

  • 社会人にも練習会を含めて広く門戸を開いてくれていること。この様な寛大なスポーツは寡聞にして他に知りません。
  • 反省と改善の要素が毎回沢山ある事。例えばマラソンでの反省要素は我々レベルには比較的ワンパターンになり勝ちですがオリエンテーリングではいろいろな要素で次回こそと思わせてくれます。反省会が良い意味で大変盛り上がるスポーツだと思います。
  • 頼るものは自分しかない状況、山中一人、なんとも言えない孤独感や緊張感を味わえること。そしてその裏返しの安堵と達成感も平凡な日常ではなかなか味わえない貴重な瞬間です。
  • これから何が起きるか分からないスタート前はいつもワクワク、ドキドキします。
  • 最近はいろいろな分野の人がオリエンテーリングに挑戦していて、その色々な人達が「地図読みプラスα」が楽しくてオリエンテーリングをしに集まっているような気がします。このプラスαはそれぞれの分野と少しづつ重なっていて、この重なりがあるのでオリエンテーリングは色々な分野のハブになっていると感じています。
  • 全日本クラスから大学の練習会まで、色々あっていいですね。当日参加もありがたいです。
  • 当日参加ができる。
  • 当日エントリーできること。他のスポーツ大会では、見られない。
  • 当日エントリーが出来るのはいいと思います。
  • 当日エントリーができる事、受付がセルフで並ぶ必要がない所がいいと思います。
  • 当日エントリー可能なのこと。エントリーフィーが安いこと。

当日申し込みがあることが意外と好評。参加費の安さもいつも驚かれます。

  • 大きな大会は年齢別になっているので入賞のチャンスがあり、モチベーションが上がる。
  • 高齢になっても続けられる。
  • 大学のクラブチームが多く、選手の年齢層に幅があるのが面白いと思います。
  • 小学生からシニアまで幅広い年齢層が、それぞれのカテゴリーで競技できる仕組みがいいと思います。

生涯にわたって楽しめるスポーツは多いと思いますが、いつまでも主役になれる舞台があるってのがいいと思います。

  • 結果の発表が他の競技に比べて、格段に速い!
  • ラップ解析が面白い!
  • 地図は縮尺が大きくて見やすいです(笑)
  • 競技時間が短いから半日時間があったら参加できるし、準備が簡単(行動食の準備やウェアの選定が不要)。

と、いろいろご意見いただきました。大会でアンケートを取っている団体にはもっと多くの蓄積があるでしょうね。こういうのをうまくまとめて、オリエンテーリングのブランディングを仕掛けていければと思うわけで、本来はJOAが担うべき役割なのかもしれませんが、どこかの大会がオリエンテーリングかっこいい運動(この名称がダサイ)を展開していけば流れは変わる気もします。

オリエンテーリングのここが変」への4件のフィードバック

  1. KOI

    和田さん、コメントありがとうございます。クラブ阿闍梨のみなさんはとっても意欲的でフレンドリーですし、オリエンテーリングに新しい文化をもたらしてくれていると感じます。他のオリエンティアのみなさんも和田さん光瀬さんのようにレースをきっかけにいろんな話をして交流を深めていただけると嬉しいです。

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  2. 和田美千代

    昨日、KOLC大会の表彰式のために集められて待たされている時に、Club阿闍梨の光瀬さんに話しかけられました。
    「長くやっているのですか」と聞かれたので「大学生から結婚前までと、しばらく休んでまた5年くらい前から」と答えました。
    W50Aで私が1位で光瀬さんが2位。トータルタイムでは大差でしたが、区間タイムはその割にたくさん負けていました。負けた区間数よりも内容にびっくり。光瀬さんはまだ初心者に近いので、私がミスした区間はもっと激しくミスしたか地図読みに時間がかかったかで、負けていませんでした。負けていたのは、チラッと地図を見てひたすら走るだけの区間。1歳若いだけなのに、走るのは速い。それも、勝ち目がないほど速いのではなく、「ほんの少しだけ速い」ので、「今度は、こういう区間も負けないように頑張ろう」という目標ができました。
    フォレストでは私より速い同年代の女性たちがスプリントで勝負してくれなくてつまらなかったけれど、新しい仲間ができて感謝します。

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  3. KOI

    ふじしまくん、コメントありがとうございます。

    最後をこんな締めくくりにしたので大会が変われば変わるという印象を与えてしまったかもしれないけど僕もクラブ活動を充実させることが一番だと思っています。実際クラブ阿闍梨の人たちもクラブの存在があるからこうやってオリエンテーリングを楽しむきっかけになっているわけですからね。がんばりましょう

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  4. ふじしま(新潟)

    私は「大会だけじゃ普及にならない。もっと日頃から練習をしましょう」とかねてから主張しておりますが、「地図・ルールについて」の中には
    日頃のクラブの練習の中で先輩やコーチ、ベテランの方から教えてもらえば済むことが割とあります。地図記号やJSCDはクラブでの練習の
    中で少しずつ覚えて行って欲しいものです。

    「クラブはもっと練習やりましょう。」…本当にそう思います。スポーツ活動の基本は練習と稽古です。
    「大学クラブ以外は、新しい仲間を増やそうという意識が少ない。」…これも間違っていないと思います。普及とは、日頃から一緒に練習
    したり大会に参加したり酒を飲んで語り合うような仲間を増やす事だというのも、前々から私の主張しているところです。
    「初心者が始められる機会が無い。」…これもクラブの役割です。初心者は大会に出させるのでなく、練習に来てもらうのが望ましいです。
    地域クラブが常設コースを持っていれば、興味のあるビギナーがいたらそのコースを一緒に廻ってオリエンテーリングを説明することができます。市街地のクラブはフォトОのコースを1つ作って持っていても良いと思います。

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