第44回全日本オリエンテーリング大会

オリエンテーリング日本一を決める全日本オリエンテーリング大会。今年は6月17日に岐阜県中津川市の椛の湖オートキャンプ場を会場に開催された。僕は日本選手権を決めるM21Eクラスへ出場。毎年優勝を目標に臨み、国内レースでは最も力を入れるレースだが、昨年は準優勝。今年こそはと力が入る。

特に今年は前々からロングディスタンスにふさわしいコース設定が行われると宣伝されており、距離は13.7km。やぶが濃く斜面が急な日本ではなかなかない距離のコースが提供された。長い距離が得意というわけではないが、このくらいの距離には十分対応できる自信はあり、テストレースとして臨んだ2週間前の東大大会では余力を残してのゴールだったのでかなりチャンスは多いだろうと自信をもつこともできた。

ここ最近、序盤にミスをしてしまう傾向が強かったのでとにかく最初をしっかりこなしてリズムに乗ることに集中。慎重なペースでレースに入る。2番でアタックを少し外しそうになるが慌てず軌道修正でき、序盤のリズムはばっちりだった。

最初の勝負所2-3のロングレッグ。道を大きく回るルートにはメリットが見えず、地形や道を繋ぐまっすぐめのルートを探り、暑さと長さを考えこまめに給水を取ることも考えルートを決める。給水所の位置をしっかり把握しておらず、直後に間違えた方向へ進んでしまうロスがあったが、ルート選択はよかったと思う。

4でミスをし、6-7のロングレッグ。真っ直ぐめの道をつなぐルート(橙)とやや右寄りの小道をつなぐルート(赤)、左に大きく回る道回りがぱっと目に入る。アタックはどれも同じ尾根を下ることになるならばそこまで一切ナビゲーションしないで済む左ルートを選択。特筆するほどのスピードがあるわけではない僕だが、区間1位を取っているのでよい選択だっただろう。

がロングレッグ後の8で大きなミス。ここは慎重にならなくてはと頭では思いつつ、かつ一旦現在地を把握しておきながらその先の地形を誤認して全然違う方向へ進むなど致命傷となるミスであった。

しかし長いレース、まだまだ取り返すチャンスはあるはずと信じ10-11のロングレッグへ。左側の道を細かくつなぐレッグは細かなアップダウンも多く却下。右の道路を使ったルートを選択。集落の先、11の南の沢を詰めてアタックするか(青)、北の谷からアタックするか、西の尾根を走ってアタックするか悩むが(紫)、ここは攻めの選択、尾根を走って最短距離を攻めるルートを選択する。勝負所。

しかし集落を過ぎ尾根に入る手前の登りで足に痙攣の傾向。ここで無理をすると終盤走れなくなるかもしれないという恐れから北の谷をペースを落として詰めることになる。補給して回復を待つ。ループ部分で調子を取り戻したかに見えたが、ちょっとしたショックで吊り上がってしまいそうな状態。なかなかペースを上げられず我慢の走りを強いられる。

結局終盤までペースを上げることはできずフィニッシュとなった。いくつかのミスと後半のペースダウンを考えると入賞も難しい出来という印象だったが、レースはタイムが伸びない展開となり、運よく2位に入り込んだ、というのが正直なところだ。

写真はJOAツイッター@jorienteering より

痙攣については言い訳をすればいくらでもできるが結局は力が足らなかっただけということで、距離に対して自信があっただけに残念である。しかしそうなる前のペースは悪くなく、対策さえできればよりよいパフォーマンスが出せるという点では世界選手権に向けて自信を持つことはできた。

反省しなければならないのは4番、8番で、いずれもロングレッグの直後、見通しの悪い、地形もぼやけた場所での方向維持を失敗しており、残り1ヶ月半でしっかり克服しなければならない課題であると認識している。

さて改革が行われている全日本大会。YMOEの山川氏プロデューサーの体制となって2年。しっかりした地図、ロングらしいコースを提供しようという試みは参加者には伝わって来たし、少なくともエリート選手層には1つのモチベーションになっていることは確かだと思う。運営される方にはいろいろご苦労があることと思うが、選手としては大変ありがたいことである。

大会の権威付けという点では全体的に見れば大きな変化はないのかもしれないが、そもそもレベル・年代を問わずコアな選手にとっては細かな演出がどうであっても重要な大会であることに変わりはないし、パブリックコメントでは僕もいろいろと意見をしたが、実はそこに力を入れすぎてもあまり意味はないのではないかと思いつつある。

それよりは全日本大会を目標にがんばろうとか、エリートクラス走るクラブの仲間を応援しようという草の根の活動を広げることのほうが大事で、大会は競技のコアな部分はしっかり提供しつつ、そういった気持ちに応えるささやかな演出があればよいのかもしれない。

ただ全日本大会に限らずだがオリエンテーリング大会の表彰式の間延び感だけはなんとかできないものかといつも思う。と他人事ではない。10月28日に静岡県で開催する全日本ミドルオリエンテーリング大会では競技責任者を仰せつかっている。競技のコアな部分はしっかり提供しつつ、この課題を解決できるような工夫を考えたい。

全日本大会は来年からはNishiPROの西村氏がプロデューサーとなる新体制。いろいろと考えてくれているようなので楽しみだが、とりあえずの大きな変化は秋開催になることだろう。個人的には秋はコンディション調整に難義しそうで、いつまでこの舞台に立つことができるかという現実的な問題に遠からず直面することになるかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA