全日本大会2021&全日本を終えて

10/24 ロング

前日の疲労度が心配だったがほとんど感じられず。単純に反応が遅くなっているだけという説もあるが。。ロングはスタート前の隔離がある。会場でクラブメイトと少し話した後、スペクテイターズコントロールに物を置けることを知り、慌てて準備する。前日には発表されていたらしいか気づけず。体育館に入って隔離。世界選手権みたいな感覚でわくわくする。さらにGPS端末を背負ってライブトラッキング対象になっている。人に動きを見られるというのはかなりのプレッシャーで正直苦手だったが、落ち着いてやるきっかけになるぞと言い聞かせて装着する。体幹運動やランニングなどウォーミングアップを済ませスタートへ。

スタート枠に入り3分前で位置説明をもらう。男子選手権クラスは追走防止ループがありコースパターンが振られている。Wの位置説明を受け取る。コントロールが多いなあと思いつつ、特殊な記号がないか、設置位置などを確認し2分前、1分前と進む。1分前で名前と地図の確認。が、出された地図に書かれている名前が違う。係員も同時に気づき対応。代替の地図を出してもらう。がその地図はEのパターンとなっており、もらった位置説明のパターンと違うと伝える。この時点でスタート時間を迎え、スタートできず。1分後のスタートでよいか確認され、よいと伝える。1つ後ろのスタート枠に2分後の前中選手が入ってくる。地図が変わるのか位置説明が変わるのか。結局Wパターンの地図を渡され1分後にぎりぎりスタートできる。前後の選手とのタイム差は保たれるのか?パターン振りはきちんと行われているのか?と心配するが、それが吉と出るか凶と出るかはもう知らん。ただここで気づかずスタートしていたらレース不成立の可能性もあったわけで、今大会のMVPでしょと勝手に思うことにする。コースに集中してスタートへ。

ルートはLiveloxにてアニメーションで他の選手と比較しながら見ることができます:
https://www.livelox.com/Viewer/All-Japan-Championships-Long/M21E-1?classId=429229

△→1
1は昨日のミドルでも通過した緩い地形の中へのアタック。慎重なアタックも求められるが登り基調のため自然とペースは下がり大きな問題なく進める。

1→2
2はロングレッグ。16をかすめるまっすぐ目のルートが見え、送電線下のオープンを目指し進む。送電線を抜けた正面の森が想像していたよりもヤブく感じ、ここをまっすぐ抜けるのはパワーを使いそう、まだ温存すべきと判断して左の林道へ抜け、林道カーブ部分は谷を詰め、2の東の作業道に乗って分岐からアタック、にプラン変更。これは意外とよいルートでしょうと自画自賛しながら走る。谷を詰めるところまでは良かったが、平らなエリアに上がってからヤブもあって作業道に乗り切れず少しうろつく。結果的にトップといきなり2分半近い差を付けられる。道に出るまでの線形の悪さ、登り切った場所でのペースダウン、登りでの走力差、序盤の積極性。いろいろ要因はあろう。

2→3→4
3は短めのレッグ。のっぺりした斜面を斜めに登ってアタックする課題。苦手とする課題。しっかり方向を定め、歩測や登る量も意識しながら慎重に進む。

4で再びロングレッグ。林道に降りるまでは選択はなく、そこからの展開をどうするか。ほぼ同じ高さにありゴリゴリコンタリングするか道を回るか。給水所から森へ戻るルートは考えられず(見えなかったというよりは、だったら最初からコンタリングでよいと思うから)。事前の研究からここはまっすぐがよいと思っていたがスキー場の間の森はヤブがきついという経験が邪魔をして決断できず、早くはないが遅くもないだろうということでペースを上げて道で勝負。駐車場から森へ入るところでうまく登れず、その先の小道もうまく辿れずでペースが乱れるもなんとかこなす。

4→5→6
短いレッグが続く。近くに選手の気配を感じ、後ろに追いつかれたかと思う。1分差2分差?いずれにしてもまだまだ巻き返せるはず。

6→7
再度ロングレッグ。かなりの長さ。勝負レッグか。しかしまっすぐはほぼないだろう。左まわりも森を走る距離とアタックの難しさを考えたらメリットがあまり感じられず右まわり一択に。救護所を通って送電線下のくの字カーブからの長いアタックをプラン。脱出で前中の姿が目に入りやや先行される。救護所で給水している間に差を付けられる。林道で追いつき、カーブでインを付いて先行。その間にスタートフラッグをかすめて12を見ながらアタックするルートも検討し、道を走れること、12をノープランでアタックできることを重視してルート変更。送電線手前で前中とルートが分かれる。7までは走るだけ。下からアタックしていくと7を探す動きをする前中を再度見つける。若干負けたか、でもペースの違いを考えれば十分と納得し僅差でコントロール到達。

7→8→9→10→11
1つめのループ。前中は僕のアタック方向へ行ったのでパターン振りは無事に行われているのだなと安心する。

8は平らな斜面のヤブのなかにある岩。慎重に進み斜面の方向ややぶの形も確認しながらなんとかこなす。若い選手と一緒になる。後で知ったが京大の二俣君だったようだ。9、10と昨日のミドルでもあったようなレッグが続き2人で進む。11に戻るところで隣接コントロールにひっかかる。

11→12→13
再び1人になり12は7の逆走アタック。狙い通りトップタイムを獲得できた。13も緩い斜面で小さな特徴物へ当てるアタック。要注意コントロール。ミドルで見たコの字型の沢まで行って慎重に進む。途中の小さなやぶがきちんと地図に描かれていて難なくアタックできる。

13→14→15
14は再アタック。やや南めに外して斜面手前の作業道にエイミングオフして斜面に飛び込むプラン。問題なく進めていたはずが1本手前の作業道に出たところでパラレルエラーしてしまい、正面に斜面が見えない、おかしい、と考えてしまう。南に出過ぎた?でも斜面が見えないなら北?だったら10の後に見た分岐が近くにある?と北に進んでみるも様子がおかしい。地図を読み直し1本手前にいることに気づき再アタック。ルートチョイスによるロスを除けば最も大きなナビゲーションミスを計上。15は無難に通過。

15→16→17→18→19
16はミドルレッグ。ルートチョイスは見えず。大きな沢までコンタリングして沢を詰めるプラン一択。実際は送電線まで登って上の道を使う選択も多かったようだ。ペースは速くなかったがここでもトップタイムを記せた。

17も長めのレッグ。ルートチョイスはあまりなさそう。植生界の角まで気持ちよい直進。Str8の利点を活かせた。アタックは慎重さが求められる課題で、うまくコントロールしてペースを切り替え慎重に行けたが作業道の終わりを見誤り変にルート修正してしまい方向をずらしてうろつく。7以降視界に捉えることのなかった前中が先に脱出していくのを見る。

スキー場を一気に下る18、19。ふくらはぎがピキピキきておりあまり勢いよく下れず。前中の姿が離れていく。19のスペクテイターズコントロール。観衆の視線を気にせずしっかり補給してマイペースで2枚目へ。

今回の全日本ではライブ配信もあった。海外メジャー大会では当たり前になりつつあるが日本でも広がるのか?

19→20→21
ここまでで裏面のコースを見ていたかいないかの記憶がない。ちらっとくらいはどこかで見たかもしれない。このタイミングで初めて結構登るねぇと感じたことは覚えている。登り返しの20。これは走れなくなるかもというくらいふくらはぎにダメージあったが、19で休んだ時間を考えるとタイムは悪くない。自分で思っているよりも走れていたんだろうな。

21はルート選択あるか?初めに見えたのは歩道道と小道をひっぱり東の柵近くまで進んで下からアタックのルートで、道をめがけて脱出する。道路に出る前に実際に行ったルートの方が距離も登りも減らせることに気づきルート修正。道路を離れて小道を辿り始めたところで今にもふくらはぎがつりそうになり最後の登りを前に回復させねばとペースダウンしてしまう。アタックはもっと直線的に行くつもりだったがここも温存して道を引っ張る。

21→22→23
22、23と最後の登りはなかななか強烈。今の状態ではほぼ走れない。が歩いてもあまり差はつかないぞと言い聞かせて確実に歩を進める。トップ2人とはだいぶ差を付けられたが意外とタイムは悪くない。みんな辛かったんだな。最後の踏ん張りどころだったのだろう。

23→24→25→26
コンタリングから下り基調となる24。何もなければ勢いよく行けるレッグだが脚が限界で一気にいけないもどかしさ。諦めてしまいそうな心とチャンスはあるぞ諦めるなという心のせめぎ合い。

25はレッグ線に沿って給水所までまっすぐのつもりだったが完全に走れなくなってはまずいと道に逃げる。その選択がまずくて固い路面の反発で完全に攣ってしまう。給水所まで脚を伸ばしたまま進み給水。汗をなめる。一呼吸して屈伸運動。すると急な回復を見せ走れる状態に戻る。休んでいる間に長縄らに抜かれ、追いかける。送電線下からは慎重なアタックが必要だと思うも手前で不安になり見つけたコブにこれどこだ?としばらく考えてしまう。リロケートするより先に他の選手の動きで把握した感じ。ここまでが嘘のように走れる。そのままパックで26へ。

26→27→28→29→◎
回復した脚を活かして道を引っ張りアタックした27。脱出で荒地を巻く道にうまく乗れずに少しロスした28。まだまだ行けるぞと走った29、これで最後だと振り絞ったフィニッシュレーン。最近にしては珍しくよいペースでフィニッシュへ駆け込めたと思う。

フィニッシュ後のアナウンスでメダル圏内にいることを知り、しかし勝てなかったかとガッカリしたことを覚えている。後続の不調に賭けるしかないがそれはそれでオリエンテーリング界的にはあってはならんでしょうとも思った。前中や谷川のコントロール不通過にも助けられ最終的には4位入賞。トップの伊藤樹や2位の小牧とは10分の差がある。銅メダルの森清までは1分17秒。せめて110分を切りたかったなと思う一方、夏の国際大会で活躍した3人の直下に位置できたことにちょっとした満足感やこれで良かったんだろうという納得感もあったかな。これらが直後の雑感。

大会を終えて

大会から1か月近くたってこのレポートを書いている。今の気持ちも当日の雑感とあまり変わらず、実力通りの位置だったんだろうと納得してしまっており、来年に向けて雪辱を期すぞという気持ちにはなれていない。体力的にも技術(視力)的にもこれ以上のパフォーマンスアップが厳しいと実感していることもあるだろう。また家庭や仕事もあるなかで全日本に向けたレース機会、トレーニング機会、日々のハードなトレーニング時間を確保することがもはや苦にさえ感じる。

もちろん取り組むレベルを下げて全日本に参加し続けることはできるわけだが、僕にとって全日本21Eというのは日本一を競う舞台であり、できるできないは別にして日本チャンピオンになってやろうという野心を持った者たちがそれ相応の準備をして臨む場だと思っている。そのどちらも揃っていない状態では出たくないなというのが正直な気持ちだ。

さらに言えば2018年に日本代表を退いた後も全日本に向けて頑張って来れた一番の理由は2021年5月に予定されていたワールドマスターズゲームズ2021関西であった。コロナ禍に見舞われ2022年に延期されWMOCではなくなったとは言え、マスターズのオリンピックに相当する大会で世界チャンピオンになれるという実現可能な目標と、マスターズで勝つなら日本トップになる力がいるという指標が今年の全日本に向けたモチベーションの源泉であった。ゆえにマスターズが終われば全日本へのモチベーションもなくなるだろうと思い今回を一区切りとしていたが、全日本直前にマスターズゲームズが時期未定の再延期となってしまい競技目標を失ってしまった。

もう1つある。母校が関係する。何度かの代表引退、結婚、子の誕生など競技に区切りを置けるタイミングがあったが、いずれの時期も出身クラブである筑波大の男子チームは競技面で低迷が続いていた。あまり面倒見のよい先輩ではないので直接的な支援はほとんどしてこなかったが、日本のトップでやっている出身者が1人でもいれば何かしらの刺激になるんじゃないかと思い込めたこともモチベーションになっていた。そして皆さんご存知の通り小牧弘季というスーパースターが誕生し、永山らその下の世代も飛躍しつつある。

きっとこれはそろそろ休んでみたらいいんじゃない?という何かからの思し召しだと思うことにして、しばらくはフラフラ思うままに過ごしてみても良いかと思う次第。別にこれでオリエンテーリングをしなくなるわけでも全日本大会に出ないわけでもないけれど、M21Eへの連続出場にこだわることはなくなるだろう。21回、どの大会も厳しくつらいコースだったが振り返ればどれもよい思い出。一緒に競ってくれたライバルたちに、舞台を作ってくれた運営者の皆さんに、僕をサポートしてくれた皆さんに感謝。

せっかくなのでこれまでの全日本を振り返ってみる。こうやって見返すとミドルはこれまで出場すれば必ず入賞しており、今回初めて入賞を逃してしまったのだな。ロングは30代のときにもう少し勝ちたかったな。行けたと思ったときはいつも結城が立ちはだかっていた。スプリントを取れなかったのは今でも心残り。特に朝霧開催時に秒差でボブに負けたのは本当に悔しい。だからボブこと谷川にはいろいろ頑張ってもらいたいと思っている。リレーも入れれば全日本タイトルは9つ。10個目を狙うなら来年3月に開催が決まった全日本リレーだろう。今の状態では静岡代表に選ばれるかさえ怪しいが伊藤樹を優勝させて送り出したいという気持ちも強い。

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