OMM 2016(UK)遠征記 序

随分前のことになってしまったが、10月末にイギリスへ飛び、OMMへ出場した。

OMMとはOriginal Mountain Marathonの略で、49年前にKarimar Mountain Marathonとして始まった歴史あるレースだ(来年50周年)。簡単に言えば2人一組で参加するレースで、1泊2日でオリエンテーリングのようにチェックポイントを巡り、夜は指定された場所でキャンプをしなければならないというルールである。そしてサマータイムが終わる週末、まさに季節が変わる嵐の季節にあえて行われる過酷なレースでもある。

参加者はチェックポイントに早く正確にたどり着けるナビゲーション力はもちろん、2日間で最大100kmを超えるコースを踏破するスタミナ、しかも道のない荒野を突き進むというパワー、そして暴風雨となることもある環境への対応、寒い夜を過ごすキャンプ能力、それらをできるだけ身軽にこなすためのパッキング力、そして2人で力を合わせるというチームプレーなど、まさに山の総合力を問うレースだ。

正直なところナビゲーション力以外にはさほど威張れるスキルのない僕にとってはあまり出てみたいと思う種類のレースではないのだが、このOMMが3年前から日本でも開催されることになり、ご存知の通り僕がコースプランナーを仰せつかることとなり、であればぜひ本場のOMMを体験してきてほしいという期待に応え、出場することになった。はじめは視察しながらということだったので、設置や撤収も手伝いながら、好きなコースを部分的に走ってみるのがよいのではという話もあったが、OMM JAPANの運営がイギリスの彼らが思っていた以上にしっかりできているということで、わざわざ視察する必要もないだろうと、招待選手として出られることになった。

出るからにはしっかりパフォーマンスを発揮したい。となると相方選びも重要だ。本来であればTEAM阿闍梨のメンバーと出たいところだったが都合がつかないということもあり、同世代のオリエンテーリング仲間の寺垣内くん(ガウチ)に頼むことにした。一緒にいろいろな国へ遠征し、国内でも合宿で何度も一緒になった。相手の技量や性格もよくわかっていて、いい意味で気を使わなくてよい相手でもある。懸念があるとすればどちらもナビゲーションに特化したタイプで、山やエンデュランス系に秀でてはいない点で、お互いの弱点を補える可能性が低い点だった。ただお互い活動の幅を広げる中でそういうアクティビティを少なからず経験するようになってもいるのでなんとか対応できるだろう、と。

次に出場クラスついて考える。OMM JAPANは決められたポイントを順番通りに回ってきてそのタイムを競うストレートと、制限時間内にどれだけポイントを回れるかを競うスコアの2カテゴリーがあり、さらにそのなかで距離や時間の長短によってロング・ショートという2クラスに分かれている。イギリスでもカテゴリ分けは同じで(ただし、ストレートではなくライナーコースと呼ばれる)、クラスがより細かく分かれている。ライナーコースはエリートクラス(E)、A、B、C、Dの5クラス、スコアはロング、ミディアム、ショートの3クラス。

スコアはスコアで人気があるようだが、やはりライナーコースがOMMの華。実際に現地で他の参加者と話していてもライナーコースに出るというと一目置かれるし、俺はBコースで何位になったことがある、と自慢話にも挙がってくる。何より僕らはオリエンティア。オリエンテーリングと同じスタイルの方が楽しみやすい。

ではクラスをどうする??通常、Eクラスは誰でも出られるというわけではない。過去のOMMや他のスポーツでの実績が必要となる。もちろん僕らは招待選手だし、日本トップオリエンティアとして出場が認められる可能性は高かったが、昨年OMM JAPANのチャンピオンチームとして出場した柳下・山田チームが完走できていない。ややハードルが高いような気がしたし、オリエンテーリング大会同様、まずはAクラスで実績を残してからEクラスへというステップを踏むほうが今後のためにもよいんじゃないかと思い、今回はAクラスに参加することにした。他の選手のレベルが分からないので現実的な目標を立てるのは難しかったが3位入賞を争うくらいにはいけるんじゃないか、というのが事前の予想だったが。。。

実は僕はOMM JAPANにも出たことがない。初めて出るレースというのは、どんな準備をすればよいのか、というところから想像しなければならず、なかなか大変だということに気づいた。そして長年取り組むオリエンテーリングでは事前準備の過程からすでに自動化されているということにも気づく。その点、OMM JAPANに毎回参加しているガウチは慣れていて、山でキャンプする機会を作ろうと計画してくれ、事前に2回練習をした。ただ個人的にはとても忙しい秋。なかなか予定が合わず、予定と予定の合間を狙ってなんとか山を走ってキャンプする場を設ける。1回目は台風が来ている雨の中での練習だったが、2回とも風はなく気温も下がらずで、とても寒く風も強いと言われるイギリスに向け、どのくらい対応できるか、2人ともやや不安を感じながらの渡英となった。

準備するにあたって柳下さんのレースレポートはとても役に立ったのでここで御礼を言っておきたい。(続く)

台風も近づく中、空木岳でトレーニング

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