秋のレースを振り返る

この秋は10月から11月にかけて全日本オリエンテーリング大会がスプリント、リレー、ミドルと立て続けに行われる。さらに仕事のピークも11月にあり、毎週末イベント運営とレースがあるというハードスケジュール。それに加えてナショナルチームを離れてからオリエンテーリングの練習機会もめっきり減ってしまっている。かなり厳しいコンディションの中で戦わなければならないことは春の段階で分かり切っていた。

ということで慎重にスケジュール管理を行い、なんとか戦える状態でレース期を迎えなければならない。メインのレースは10月末のスプリントの全日本。体力的な要素が少なく、少ないトレーニング時間でも対応できることもあるが、唯一取れていないタイトルというのが一番のモチベーションだった。若い選手が活躍する種目という流れに逆らうようにレースに向けて調整を行う。夏以降、インターバルトレーニングを中心に据え、弱点であるスピード強化に取り組む。しかしやはりオリエンテーリング練習はほとんどしておらず、目に見えて速くなったという実感は得られないのは悔しい。

前にレポートした筑波大大会はスプリントとして重要なレースだった。結果はよかったが、母校補正もあり、自分の仕上がり具合を正確にとらえることができない。

10月頭に行われたインカレスプリントの併設レース。全日本スプリントのオーガナイザーの多くが運営に加わっている、長野県での開催、広いオープンと少ない建物群で構成されるテレイン、ということで重要なテストレースだった。しかしルートチョイスを悩ませる今どきのスプリントらしい難コースで、この手のコースに向けて練習している現役代表選手やスピードのある若手選手にかなり差をつけられる。これはやはり厳しいなと思う一方で、僕は学生や併設レース参加者が会場周りを走っている様子を一切見ずに走ったのでいくらかタイム差が縮む要素はあるはずと言い聞かせ1ヶ月を過ごす。

10月中頃までは帰省したりする余裕もあったが、10月下旬になると迫るイベント準備に追われ、日々のトレーニングはほとんどできないまま。しかし今走っても疲れるだけだと言い聞かせて我慢。神経をすり減らす日々が続き、会う人会う人に「やつれている」「元気がない」と言われる始末。スプリントに家族が応援へ来てくれることも決まり、自分の中では元気いっぱいのつもりだったが。

10月25日、スプリント1週間前、伊豆大島ジオパークロゲイニングの後に参加したオリエンテーリング大会。こちらもイベント直後の疲れもあってか切れも集中力も欠くレースで1年生インカレチャンピオンの稲森君の後塵を拝す(→ルート)。大島から嬬恋へ直行し、OMMのコース調整をぎりぎりまで行う。自分のコンディションがよいのか悪いのかすら分からない状況というのは自分の競技人生であまりないことだったのでこれは新しいチャレンジだと言い聞かせて準備を進める。

そして迎えた全日本スプリント。10/31、松本は秋晴れ。午前中の予選から全力で行くポリシー。というか今の状況を考えると予選から手を抜けるほどの余裕はない。実際、予選ボーダーまで30秒という拮抗した結果となった。ただ予想外だったのは今年も予選トップとなったこと。このコースならばトップは難しいだろうと思っていたのだが、意外な結果に決勝への期待を自分の中で高める。

全日本スプリント予選

全日本スプリント予選

午後。隔離スペースでは程よい緊張感と程よいリラックスの間にいられた。午前中の疲れも感じられない。若干、夕方の肌寒さを感じる。最終スタート。1番、2番と読図に気を使うレッグが続く。最初に建物に近づくところで1分前の谷川選手の影を追うことができ、悪いタイムではないと思う。さらに会場へ入る場所でトップと僅差、わずかに劣勢であることを感じられ、後半へ気合を入れる。しかし気合を入れた割にはタイムが悪く、30秒差をつけられフィニッシュを迎える。ぎりぎり6位入賞。後半は確かにベストではなかったがそこまで差がつくほどの走りだったとも思えず(むしろ家族の声援を受け相当がんばれたくらい)、これが世界を見据えてしっかりトレーニングを積んでいる選手との差なのだなとがっくしくる。

全日本スプリント決勝前半

全日本スプリント決勝前半

全日本スプリント決勝後半

全日本スプリント決勝後半

全日本スプリント決勝 大会ウェブサイトより

全日本スプリント決勝 大会ウェブサイトより

全日本スプリント 男子表彰式 大会ウェブサイトより

全日本スプリント 男子表彰式 大会ウェブサイトより

翌日の7人リレーは気持ちを切り替え、全日本リレー、ミドルへ続くフォレストの練習としてしっかりと走る。悪くはないタイムだが、愛知県(OLCルーパー)勢の勢いを感じる。週末から1日あけたぐるぐるナビの実践編も重要な練習機会。講師をしながらこっそり練習する。

7人リレーでNew静岡ウェアお披露目

7人リレーでNew静岡ウェアお披露目

11/8、滋賀にて全日本リレー。5連覇のかかる静岡は松澤-小泉-長縄の順。ライバルチームは概ね想定通りの走順。長縄のオリエンテーリング回数が少なめなこともあり、松澤さんから長縄へ情報伝達できることでカバーしようという意図があった。ややネガティブな理由の走順決定だったことを今思えば悔いている。戦前の分析では地力では若干劣勢だが、経験豊富な歴戦のランナーを揃えるうちにもチャンスはあるだろう、と。淡々と走り、棚ぼた勝利と言うリレーの王道を目指す。雨の中スタート。1走で松澤さんが少し差をつけられて戻ってくる。しかしきっとパターン差もあるだろうと落ち着かせて走り出す。

全日本リレー 静岡県 男女選手権クラス出場選手

全日本リレー 静岡県 男女選手権クラス出場選手

とは言え、背中が見えない中で走るのは分が悪い。少しでもライバルが目に入る位置につけたいので前半は攻めの走り。特に勝負をかけたのは3→4。この位置なら南の道周りが正解かもしれないが、真っ直ぐ目のルートを選択する。うまくすれば5へ脱出するライバルチームたちを捉え、いくらかプレッシャーをかけられるかもしれない。果たしてその通りになり、トップを行く愛知の谷川選手とすれ違い、タイム差を計ることができる。ただタイム差はスタート時点とあまり変わっておらず、まだまだ厳しい位置にいると少し落胆。しかしこれでプレッシャーを与えられたかどうかはわからないが谷川選手はその後凡ミスをして会場に出る前に逆転でき、一気に勢いがつく。っと、今度はこちらにトラブル発生。13の地図が浸水で溶けて見えない。尾根と言う位置説明と直前のアタックポイントだけを頼りに進むも30秒のミス。さらに脱出直後の情報も見えず万事休す。とにかく北へ進み地図が残っている範囲に出るが気持ちは焦ったまま。そしてラストコントロール直前でもふたたび地図が読めなくなっている。せっかくリードしたが後続を待つしかないかと諦めたところで同年代のライバル神奈川の紺野選手が現れ見つけられる。状況は理解できなかったがどうやら最大のライバル愛知より前に継走できたようだった。

全日本リレー

全日本リレー

ということで3走勝負へ。これはチャンス大だろう。静岡がリードを保って終盤のループへ入る。1分差で愛知・細川選手。両者とも時間がかかったが会場北に姿を見せたのは長縄、これは勝ったと思った瞬間、ラストコントロールへ突然現れた細川選手。5連覇を阻まれ準優勝。まわりは仕方ないというけれど、僕はとっても悔しかったよ。正直なところ。リレーで競り負けるのは一番悔しい。これはもう10数年ずっと僕がオリエンテーリングを続けるモチベーションになっていると今は確信している。

全日本リレー 上位3チーム

全日本リレー 上位3チーム

OMM朝霧ロゲイニングとイベントをこなし、あっと言う間に今年の最終レース、全日本ミドル。早朝に朝霧ロゲの設置を済ませ、朝一の新幹線で新神戸へ。政令指定都市の新幹線駅ながら、一歩出ればハイキング道に繋がるというこの立地、なかなか侮りがたし。しかしハイキング道は予想以上に混んでおり、会場まで3キロ強の道のり、若干遅刻を心配しながら進むことに。布引貯水池を過ぎたあたりからまばらになり、さくさく進め事なきを得る。ちなみに帰りは城山経由で駅まで下る。こちらは人も少なくトレイル率も高く、気持ちよく下って来れた。

布引の滝

布引の滝

全日本リレーはチームでは負けたが個人ではよいペースで走れていた。今回も事前の準備量に反してチャンスは高いかもしれないぞ、と思う。しかし今思えば「かもしれない」と思っている段階で勝ち目はないのだ。才能でオリエンテーリングできるほどの選手ではないのだから。コントロールピッキングのようなコース、ゴール直前にミスをしてしまったが、それを差し引いても優勝のボブこと谷川選手には敵わない。3位銅メダル。地力の差がついてしまったなと悔しく悲しい気持ちにもなる。

全日本ミドル

全日本ミドル

全日本ミドル入賞者 朱雀OK 木俣さんご提供

全日本ミドル入賞者 朱雀OK 木俣さんご提供

30代のライバルたちが表彰台に上る機会が減った昨今、また今までに経験したことのないスケジュールの中で、すべての種目で入賞したことは誇ってよいだろうが、しかしこのまま今のポジションに甘んじていられるほど落ち着いてもいない。ようやく秋のイベントシーズンも終わりが見えてきた。冬は一番落ち着いてトレーニングできる時期だ。そういえば秋のレースの表彰台では谷川ことボブ選手より常に下の位置にいたのも悔しい。来春の全日本(ロング)へ向けて積み重ねていきたい。


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