全日本ミドル・ロング2023

千葉県勝浦市で開催された全日本大会。昨年に引き続き全日本大会に向けて目標を持って取り組んできたわけではなく、エントリーの際にエリートクラスに申し込むべきか否か悩んだことを正直に告白しておく。

全日本エリートは日本一を決める舞台。コースもそれにふさわしいものが用意される。テレインも房総半島のタフでテクニカルなエリア。過去の経験から今の状態でエリートに出走しても結果はまったく期待できないどころか、完走するのも難しいのではないか?オリエンテーリングが嫌いになってしまうのではないか?という不安で昨年のミドル同様エイジクラスへの参加を真剣に検討していた。

しかしなんとなく今年はエリートを入っておくべき、という虫の知らせのようなものを感じて最終的に両方ともM21Eへ申し込んだ。であれば目標を設定して一夜漬け気味でもそれなりの準備をしておこう。ここ最近の結果を振ると、順位は15-25位、トップ比は120-130%くらいに収まっている。この値を超えて目標設定すると無謀なオリエンテーリングをしなくてはいけない。まずはしっかり走り切ることを目標にしようと思い、順位は25位、130%以内の最低限のラインに設定する。

と言いつつ、ミドルはまだ勝負できるチャンスがあり、うまく行けば1桁順位のチャンスはあるかもしれない、と欲もあった。一方、ロングはコース次第だが120分以内でフィニッシュしたい、とやや謙虚だったのはスタミナ面に不安があったからだろう。

当日の自分のコンディションは良好。天候は11月とは思えぬ暑さを感じる天候。

ミドル
序盤でスペクテイターレーンを通るコース。日本ではあまり見ない回し方だな、と感心した。

1は慎重に入る。アタックがやや読みづらくより慎重になったが無難にパンチ。会場横を走り4まで進む。ここから本格的なミドルコース。

5のアタック手前から同期の番場さんを見かける。スムーズな手続きはさすがであった。5で男子選手に遭遇。誰か認識はできなかったが、僕は谷に下り直して東へ進むルート。その選手は脱出でいなくなりルートが分かれる。6までの尾根辿りで再び番場さんと遭遇。道に乗れずにもたつく僕と違いスルッと先へ進んで行った。うまい。6へは細かな尾根辿り。先読みはまったくできていなかったが、大きな地形の流れと整置で操舵していく感覚が蘇ってくる。6で再び5で見た男子選手を見かける。あれ?先行されていたかと思いつつ、それが松尾選手だと気づく。

脱出で松尾選手を背中にし、7へ向かう。尾根の道を辿ればするするっと行けるはずが道に乗れず谷の中を進み減速。でもオリエンテーリングのリズムが良くなってきているのを感じる。8の尾根辿りレッグで一気にペースアップだ、松尾を引き離すぞ!と欲を出したのが運のつき。9-10で使う尾根までは何も見ず進み、「尾根をチェック、左に出て来る尾根だ」と自信満々に下りていく。しかし傾斜がすぐに急になり「あれっ」と思う。行き過ぎているという感覚はなく、9-10の尾根が1つ手前だったか、9の尾根のとこにいるのか、と思い込み迷走。西の尾根に乗り直すも現在地は特定できず現在地ロスト。尾根上の三叉路でようやくここかというあたりを付けられ、時間をかけてリロケート。やれやれと8へアタック。

その後はナビゲーション上のミスはほぼなかったが、より慎重になってしまい先読みと整置にかなりの時間をかけることとなる。タイムは伸びず結果は37位、トップ比130%の47:13。全日本個人戦としては全種目通じて過去最低の順位を記録。出続ければいずれはこういう順位になっていくことは覚悟していたが数字として直面するとそれなりにショックである。だけどこんなミスしてしまったらそらそうか。何もしないでよい結果が付くほど甘い世界ではないことはよく知っているはずだ。目標設定はそれなりに妥当だった。ロングでは目標タイムが出せるようしっかり走りたいなと切り替える。

ロング

一番の敵はスタミナ以上に1:15000の縮尺だ。事前に対策を考えていたが、結局拡大鏡は利用しないことを選んだ。拡大鏡を利用した練習時間を十分確保できなかったことが直接的な理由だが、練習を十分しなかったのは拡大しても走りながら読むことがもはやできない(ぶつかったりこけそうで怖い)、だったら止まって読めばよいか、と考えたからだった。

クラブの地図読み練習会や前日の宿でルートチョイス課題を行い、ある程度の方針を立てた。ロングレッグの回るか切るか。舗装道や農道のような走れる区間があれば選ぶが、尾根辿りか尾根切りかであれば多少急でも比高はあまりない地形、切ったほうがいい。特に谷の中を下っていける場合は積極的に選んだほうがいい。

で1-2、本当のルートは青線で、減速しているところから谷へ降りるつもりだったのだが、昨日ミスした辺りだということに気づき、だったら昨日の7まで一気に行ってしまえ、とペースを上げて進むことを選んだ。たぶんそこまでのタイムだけなら悪くないと思うのだが、湿地を渡ったあとの尾根辿りで慎重になりすぎてしまった。平均点なタイム。

3-4は長めのレッグだがルートチョイスは考えられなかった。4で脱出していく結城選手と遭遇。全然ついてけず。3-4の尾根だどり、5-6の谷辿りではヤブに視界を遮られなどして危うくルートを外すところだったがコンパスのおかげで数歩進んだところで気づいて修正できた。

7-8。まさに想定していたルートチョイスがあるロングレッグ。北西の谷へ降りることは即決、救護所から8までどう行くか考え、農道を引っ張れる今回のルートに決定。谷の中は走りやすいとは言い難かったがナビゲーションが必要ないのでとにかく前へ前へ進むだけ。8への登りは竹藪の中を通ることとなり遅かったが相対的にはよいタイムだろうと自信があったのに結果をみるとそれほどでもない。尾根辿りはほとんど登りがないという。う~ん、ルートチョイスの奥は深い。

大会アルバムより転載

ミドルレッグが続く会場周辺は無難にこなしているが疲労が溜まって来たせいか益々地図が見えづらくなり止まる時間が増えてくる。ゆえに16-17は行ったことがある場所を通るルートを選択。昨日の5-6で使った尾根を辿って今日の1-2で通った尾根を使う。2の尾根を取り付く辺りで永遠のライバル松澤選手を捉える。松澤さんも苦しそう。心の中でエールを送りつつ、自分の闘争心に火が付き頑張れた。おかげでこのロングレッグは相対的によいタイムを出せる。負けたくないという気持ちが僕にとっては重要な燃料なのかもしれん。

しかしペースが上がるとよいことはない。19のアタックで再び尾根を下り間違える。しかし北西に尾根が曲がらないことで違和感にすぐ気づきロスを少なく抑えることができた。21はGPS上ではうろついているが実際はスムーズに行っている。しかし脱出後の登りは遅い。

あれ?もうラストか。思っていたより早くに終われてしまいそうだという感覚でフィニッシュ。タイムは1:50:54で24位。トップ比は126%。初優勝した平岡選手のタイムは想定以上で驚いたが目標はクリア。終わってみれば50分は切りたかったな、20位以内に入りたかったなという気持ちは湧くが、何もしなくてもこの結果を残せたことをまずは良しとしたい。

当初の不安ほどスタミナはあまり問題ではなかったが、とにかく手続きというかオリエンテーリングの練度が低い。終わってみて感じることは、僕にとって全日本はライバルに勝ちたいという意欲がないと準備も頑張れないし当日も楽しめない場所のままだな、ということである。

閉会式で発表された通り、来年は全日本ロングのコースプランナーをやる予定。虫の知らせはあたっていたのか、全日本(ロング)M21Eへの連続出場記録は23回で止まることになる。松澤さんより長く出続けるという密かな目標にも破れてしまったが、30年連続出場とかすごすぎ。今後も継続し誰にも破られない記録を残してほしい。心から尊敬している。

今年でオリエンテーリングを始めて25年目となるのだが、11月頭の全日本が年内最後のレースとなった。次の出場レースは(原稿を書いている年末時点でも)決まっていない。

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